山を歩く

山を歩く

月がきれいな季節になりました。ブログ2巡目の佐田です。当ブログにはコメント欄がないため、本当に誰かに読んでいただけているのか少し疑心暗鬼になりながら。今回のテーマは「山歩き」についてです。

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「地下足袋を履く仕事がしたい」とは弊社代表・青木の言葉

山仕事とくれば、もちろん基本中の基本は山を歩くということ。

これまでも幼い頃、親に連れられて歩いた栗拾いやトレッキングなど山登りの経験はありましたが、仕事で山を歩くようになって大きく変わったことが2つあります。それは「靴」と「道」です。一般的な林業の現場ではいまでも多くの人が地下足袋を履きます。私の愛用はスパイク付き地下足袋。一度、軽くてかつ素足感覚で地面をとらえられる地下足袋に馴れてしまうと、もう登山靴には戻れません。編み上げ式の安全ブーツを試したこともありますが、急斜面ではやはり地下足袋に軍配があがります。足首が固定されない分、斜面にぴったり食いく感覚。植林シーズンはときに、50キロほどの苗木を背負って急斜面を登る場面がありますが、これまで足首を捻挫した経験はありません。逆に休日スニーカーを履いて外出するとなんだか、足がフワフワして違和感を覚えたりします。地下足袋がしっかり似合ってくると自分も木こりになったなーと思ったりします。

熱狂的な地下足袋愛好者である私は、もちろん休日のトレッキング・釣りも足袋です。同行する友人からの「玄人ぶるなよな」という冷たい視線が気になりますが、これ以上歩きやすい靴はないので譲れません。あえて難点を挙げれば、岩場で滑る。あと、アイゼンがつかない(笑)

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突入するとこんな目に遭うことも

山を歩く時の道の見かたも変わりました。

一般的な地図に記された登山道や林道に限らず、人の手が入った山(ここでは原生林以外)のなかには、実は縦横無尽に網の目のように道がはいっています。いわゆる「仕事道」や「杣(そま)道」と呼ばれるもので、昔の木こりたちが開拓したルートです。登山道を歩いている時に目印のピンクのテープを目にしたことがある方もいるかもしれません。ほとんどが目を凝らさないと見つけられないような踏み跡になっています。仕事を始めて間もない頃は、先輩に連れられ歩いていると頼りない脇道に。段々とボサボサの藪の中に突入していき、最後はどこを歩いてるか分からない状態になって不安になったことがあります。これでも道。そんなわずかな踏み跡のそばに突如、古い祠が現れたりして驚かされることもあります。こういった仕事道の存在を知ると、山登りの選択肢が増えて行動範囲が大きく広がります。ただ、薮こぎの連続になることもあるのであまりお勧めできません。迷っても自己責任です。

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奥多摩某所。地図に載っている登山道(赤いライン)はこれだけ

ただ、残念ながらかつて山と里とをつないでいたこれらの仕事道の殆どが、いまは廃道に近い状態にあります。理由は簡単で、利用する人がいなくなったからです。昨今、世界的には自然破壊が声高に叫ばれていますが、こと日本に限れば現在の森林資源量は歴史的にみると過去最高水準にあるといいます。私も初めて聞いたときは驚きました。人口が増えているにも関わらず、資源量は余るという大変珍しい状況です。その主たる要因は材価の低迷とエネルギー革命による薪炭利用の減少にあります。昔は木が無ければ家が建たないし燃料も手に入りません。しかし、今は山の木が使われなくなって余っているのが現状です。

使われなくなって消えかけた古い仕事道を通るたびに、私はこれが人と山の距離間を表す象徴のように思えて寂しい気持ちになります。「人の足跡が山の肥やし」という言葉があります。当たり前ですが、放置されていては状況は改善されません。当社の企業理念の一部に「美しい森林を育み、活かし、届ける」とあります。自分も微力ながら山仕事を通じて、少しでも森がかつての賑わいを取り戻せるように貢献できたらと思っています。(←今回はこれが言いたかった)

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緑で廃道を書き加えた図。ほかにもあるようです

最後に先日、友人から天然マイタケをもらいました。なんと東京産!!東京にもキノコを育む豊かな森があるのです。

こういった強者キノコハンターともなると、もはや道は関係ありません。目的のキノコを求めて目指す樹種と方角だけを頼りに山を彷徨います。マイタケは南斜面のミズナラ林がいい、とか。大変迷いそうです。ちなみに彼は大物を帰りにとっておいて、途中で置いていたらどこにあったかわからなくなったそうです。良いキノコが採れるポイントは「親から子どもにも教えない」といいます。もしかしたら、誰にも知られない秘密のルートがまだまだ隠されているかもしれませんね。

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雪国まいたけには醸し出せないワイルドフレーバー

(佐田)

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