2020.03.01

働きやすい環境整備

新型コロナウイルスの感染拡大の影響が、世界中に広がっている中ではありますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

檜原村も御多分に洩れず、村内の公共施設の閉鎖やイベントも中止となりはじめましたが、ご近所はいつもと変わらず、平穏な雰囲気で暮らしております。

 

弊社でも3月は様々なイベントに参加予定だったのですが、相次いで中止となっています。

以前、弊社で働いていた田丸くんが故郷広島で林業会社「林業舎 雨と森」を興し、すでに活躍しているのですが、その彼が今回広島での講演会を企画してくれていたのでした。

この講演会も急遽中止となってしまいました。

対談予定の株式会社FOREST WORKERの田村くんとの再会も楽しみにしていたのですが、非常に残念です。

 

広島のうまい酒や肴も楽しみにしていたのですが。。。

 

その講演会に参加予定だった女性から事前に質問を受けていました。

せっかくの機会ですので、ブログにてお答えしようかと思います。

 

質問は「近年、女性活躍推進が話題となっていますが、林業事業体では具体的な制度や待遇を活用しやすく設定していることろは少ないようですが、チェンソーズさんは女性の産休育休やその配偶者の育休取得など、どのように整備して行ったのか教えてほしい」というものでした。

 

そもそも、東京チェンソーズという会社をつくった目的のひとつが「働きやすい林業会社」をつくるということでした。

そのため、会社の業績が良くなったら月給制にしようとか社会保険をつけようということではなく、まずは社内でニーズのある制度については整備した上で、その制度を継続するためには売上を上げていかなくてはならないね、という発想になるわけです。

その代わり、必要な制度を整備するには、その制度を必要としている社員につくってもらうようにしています。

その方が早く的確な制度が作れるからです。

自分が働きやすくなると思えば、熱心に素早く作ってくれるものです。

そして、そのようなことが実務的に可能となる優秀なスタッフがいることも大きいと思います。
たかだか社員20名弱の会社で男女問わず、ひとりが産休や育休をとったからといって倒産するぐらいであれば、最初からそんな会社は社会になくても困らない会社ということとになります。
また、このような制度を作ることで利用できる国の助成事業「両立支援等助成金」もあります。

このような助成もうまく活用することで、より制度を運用しやすくなりますので興味のある方はチェックしてみてください。

これまで、弊社で産休育休の制度を整備してから4年間で利用したのは延べ人数として男女合わせて5名。

15日間の介護休業を取得した男性社員もいました。

また、急遽大学受験をし、空いた時間を見つけながらテレワークで働いてくれているメンバーもいます。

 

とは言え、当然そんなきれいごとだけではありません。

実際には社員20名弱の会社ですから、ひとりが抱える業務量や売上は会社にとって大きくなります。

そのため、ひとり欠けると売上にも影響しますし、それは残った社員にとって大きな負担になるのは事実です。

中には社員から不満が出ることもしばしばあり、鈍感力100点の自分ですら胃が痛くなることもあります。

その欠員は短期的なことですから、補充で人を採用するのも難しいので、結果的には残った社員に精神論のようなもので頼ることになってしまいますので、その社員は頭が痛くなることになります。

育休から戻ってきたらその分挽回してほしいと思っても、実際には子育てしながら働くことになるので、急に休むことも多く短期的に挽回してもらうことは不可能です。

そのように、実際に育休を取得する人のみならず、その人をカバーする自分自身も含めた周りの社員も日々学ぶことが多いです。

長期的な視点で、子育てをしながら働いてくれている社員の経験は、いつか会社の成長に活かしてくれるのではないかと期待しています。

 

会社というものは、本当に生き物だなとつくづく思います。

会社も日々生きながら状況に応じて変化していかないと継続することは難しいと思います。

とはいえ、そのように会社として様々な経験をすることは、必ず今後の経営にも活きてくるのではないかと思います。

まあ、何よりそのような働きやすい環境整備も周りの社員の理解があってのことです。

その社員たちに報いるように、会社としても安定経営できるようにチャレンジを続けていかなくては、このような制度を維持することはできません。

特に、この業界全体を見回してみると、今の公共事業や補助金に頼る経営を続けていては、社員が経験を積んで人件費が高くなってしまった時には行き詰まることはすでにわかっています。

「働きやすい環境整備」をするためには、これまでの林業のあり方に固執せず、より高付加価値なサービスを提供し、適正な利潤を得られるように会社も成長することが求められてくるのではないでしょうか。

 

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この日記を書いた人

青木 亮輔

青木 亮輔

1976年生まれ。大阪府此花区出身。東京農業大学林学科卒。1年間の会社勤めの後、「地下足袋を履いた仕事がしたい」「後継者不足の林業なら自分にも活躍の場があるのでは」と、林業の世界へ。

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