2021.07.13

第25回 年輪くっきり! 価値観を逆転するスギ

年輪の模様がくっきり浮かぶ大きな“たんころ”。たんころとは、造材(丸太に加工)する際、曲がりやでこぼこが嫌われ切り落とされる部分のこと。たいていは土場に転がってます。
マテリアル販売事業部・伏見に聞きました(初登場)。

―この木は何ですか?

社有林のスギです。

―伐ったのは?

僕です。
作業道のすぐ脇にあって初めは残してたんです。だけど、重機も通る道なので、しっかり幅を確保したくて伐りました。

―ずいぶん大きい木ですね。どうやって伐るんですか?

これくらいの大きさになるとチェンソーのバー(刃)の長さが足りないので、1回では伐れなくて…2方向から刃を入れて伐りました。

―何年生ですか?

(年輪を数える)
65くらい。

―とくべつ古い木ではないですね。

そうですね。東京の山はだいたいこれと同じくらいです。

年輪見てるといろいろ分かるんですよ。

―何がですか?

初めのうち幅が広いですね。周りの木よりも成長が早くて、抜けて大きくなったようです。僕らはジャイアンと呼んでます 笑

で、20年過ぎたくらいから混んできて、このへんで間伐。

―間伐すると…

周囲が開けて明るくなるので、また成長がよくなる。年輪幅が広がりました。

ただ、こういう木は原木市場ではあまり好かれない。

―ゆるゆる、ということですね?

年輪の詰んだ緻密なのが良いとされますから。

―ええ。

でもこれ、年輪がはっきりしているから、育ってきた様子や手入れをしてきた人たちの存在が感じられる訳で、面白いですよ!

―たしかに、そうです。

価値観の逆転!

―おお!

いまの東京の山では最大クラスの大きさですよ。

―側面のでこぼこもいいですね。どんなところで使えそうですか?

カフェで使って、何かの置き台とかどうですか?

■素材データ
サイズ:高さ:370mm、径:500mm、
状態:樹皮剥き
樹種:スギ
伐採時期:2021年3月
重量:50kg

(取材後記)
今日は大人数での取材でした。人が集まることで、いろんな見方が分かる。いいですね(木田)。

この日記を書いた人

木田 正人

木田 正人

1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。

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