2021.08.17

第29回 1枚板に根が付いている!

まるごと素材の倉庫の片隅でひときわ異彩を放つ根付きの1枚板。じつは前から気になってました。どういう経緯?
マテリアル販売事業部・伏見に聞きました。

―前から気になってたんですよ…

社有林から掘り出したスギの根株なんですが、工房長の関谷君がこの中にはすばらしい木目が埋まっているに違いない、ぜひ板にしてみたい、ということで…

―関谷君が…

そう、関谷君が自分で。ふだんあまり使わないチェンソーで…

―ええ…

根っこは石を巻き込んでるので製材機は使えなくて、チェンソーでしか板にできない。チェンソーでやるにしても石に当たるたびに研ぎ直したりで…
けっこうエナジー必要なんですが、関谷君のパッションですね。

―いちど、もともとのに向きしてみましょうか(上下ひっくり返す)。地上に出てたのはどのあたりからですか?

けっこう深いですよ。地上に出てたのは上の30cmくらい。あとは地面の中です。


ここ、根っこが突き出してたところです。ふつうの木にはこんな目が生まれないですよね。それに、根っこ特有のきらきら感も出てます。

―綺麗。何でそうなるんでしょう?

圧力がいろんな方向からかかってしわしわになってるのが乱反射してるのかもしれないですね。磨くともっと明瞭になると思いますよ。

この髭が残ってるのも珍しいですよ。ふつうは抜くときにザクッと切断されて残らないんですよ。

―なるほど。

それと、ここ。輪になってるところ面白いですね。


―木は幹も繋がってるのありますね。

あれ不思議ですよね。

―別の木にはくっつかない。

あー、たしかに。

―いつごろ出してきたものですか?

けっこう古いですね。3年経ってます。

―では、3年乾燥してる。

そうです。軽いです。

―ちょっとしたテーブルにいいですね。

ちょっとしたテーブルにしては存在感ある 笑 
お店にあって、こちらにどうぞっていわれたら…

看板にも良さそう。


―ところで、何で関谷くんが?

前から根株を切りたいという欲望を抱いていたようで、実行に移したのがこれ。

(ということで後日、関谷君に聞いてみました)

―切ってみたいと思ったのはなぜですか?

青木さんに「1本まるごと」の考えを初めて聞いたころで、枝とか根張りとか、いろいろ切って、その素材の魅力を探ってたころなんです。根株もぜったい面白いなと思ってました。

―どうでした?

断面が想像以上に複雑で、見飽きないですね! 磨いたら綺麗だろうなと思ってます。

―まだ磨いてない?

日々の仕事に追われて…笑 まだ。
でもいつか実現したいですね。

■素材データ
サイズ:長さ:1900mm、幅:250mm、厚み:70mm、根の広がり:250mm
樹種:スギ
状態:樹皮剥き
伐採時期:2018年冬
重量:10kg弱

(取材後記)
重さの基準、僕らはチェンソーなんですね。ここで紹介する材もまずは持ってみて、チェンソーより重いとか、軽いとかやってます(木田)。

この日記を書いた人

木田 正人

木田 正人

1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。

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