2021.11.30

43回 年輪で120年の歴史を語る!?

38号、39号で紹介した直径1mを超える大きなスギ丸太。木挽き職人に依頼して板と角材を取りましたが、これは?
マテリアル販売事業部・吉田に聞きました。

―どの部分ですか?

根元に一番近いところ。この上で台座を取ってるんですが、その台座を取るときに切り落とした部分です。

―台座というのは何ですか?

詳しくはまた別にお話ししますが、高さ40cmくらいの分厚い輪切りを取ったんですよ。
その台座が置いたときに傾かないよう、真っ直ぐ切り落とした部分です。だから副産物ですね。

―普通は使わないものですか?

使わないんでしょうけど、樹齢100年を超えてて、直径も1m超えてますし…
こういう大きいのは貴重ですよ。

―この75という文字は?

この丸太は原木市場で買ってるんですが、この番号は出荷した業者さんの番号で、木の元口に入れるんです。
逆に末の方には直径サイズが書いてあります。

―ここは割れたんですか?

乾いて行く工程で、反って割れましたね。

(持ってみる)
ペラペラではないですよ。

―何に使えそうですか?

壁面アートはどうでしょう?
最近、商業施設の内装で壁に埋めて使うという話があって、別の材ですけど出荷したことあるんです。これも壁面系かな 笑

―壁面系?

埋め込むんです。

―そうしたときの見どころは?

やっぱりこの木口。年輪ですね。

―たしかに。

年輪の最初のところがだいぶ詰まってますよね。それが、20年超えたあたりから広がってくるじゃないですか。おそらくそこで間伐が行われてるんじゃないかと思います。
林内に空間が広がって、明るくなったので、成長が良くなって年輪幅が広がった。

―木の成長の過程が分かりますね。

その後、30年超えるころまた混んできた。

―周りの木も大きくなって、空間が狭くなり、成長が抑えられたということですね?

そう、その後また成長が良くなってるところがあって…、もう一度間伐したんでしょうね。

―けっこう顕著に見えますね。

これだけ大きいと教材みたいで、分かりやすいですね。

―樹齢100年ジャストくらいだったでしょうか?

120年だったかな…

―ということは、樹齢20年で間伐したとして、100年前のはなしですね。100年前というと、1920年。大正ロマンのころですよ。そのころ間伐はどうやって?

鋸と斧でしょうね。

―こっちの木挽きさんが切った面を見ると…

20年くらいのところに枝を打ったのか、折れたのかしたところがありますね。

―おもしろい。いろいろ語れますね。

年代入れて、その時代の出来事書いたりして…。歴史を語る。

■素材データ
サイズ:直径:1100mm、厚み:10mm〜30mm
状態:樹皮付き、未乾燥
樹種:スギ
伐採時期:2020年12月
重量:5kg

(取材後記)
表面を削れば年輪がもっとクリアに見えてくるとのこと。壁に埋め込むという案、本当に良さそうです(木田)。

この日記を書いた人

木田 正人

木田 正人

1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。

この著者の日記はこちら