2022.09.13
第74回 山から直送! 株立ちコナラ
山で仕事していても滅多に見れないほど綺麗に株立ちしたコナラ。魅力的です。間伐の対象として伐採する日に現場に伺い、材を引き取りました。
林業事業部・城定(じょうじょう)に、八王子の現場で話を聞きました。
※ 根本から数本の幹が立ち上がってる木
―どういう基準で間伐する木を決めてるんですか?
林冠を占めてる木です。
―林冠というのは?
枝葉を広げて、陽の光を独占しちゃってるようなやつです。
―なるほど。そういう木があると、林内に光が入らない。
そう。暗くなって環境的に良くないです。
―他の植物が育たないので、土壌が露出して雨で流れちゃうんですね。
そうです。それと、ここの山、かなりコナラが多いんですよ。
―はい。
なので、サクラだったり、ホオ、クリとか他の樹種があると、そちらを生かすよう意識して選んでます。
―多くの樹種が育つ山を目指すんですね。
そうです。
―ということは…
大きくなって林冠を占めてるコナラが間伐の第一対象となります。
―で、この木が選ばれた。
そうです。結構大きく伸びてるので、これを伐るとかなり明るくなるんじゃないですか。
―株立ちした5本がバランスいいですね。
ここまで均等なのは、なかなかないですよね。
―たしかに。綺麗ですね。
はい。伐るからには、元々のこの形を活かしたいです。
―どんなふうに使うと良さそうですか?
テーブルの土台はどうですか? 根元から5本に分かれてるあたりで切って…
―なるほど。そこにガラス天板乗せたらいい感じですね。
(このあと伐倒作業開始。上に伸びた5本を、根元から1.5mほどの高さで1本ずつ順番に伐った後、地面際で根元をカット。最後に残った部分を重機で引いて倒したところ、3本セットと2本セットの2つに割れてしまった)
―テーブルの土台にと話してた部分、2つに割れちゃいました。
真ん中が腐ってんですね。ちょっとのところでくっついてただけみたいです。
―そうなんですね。でも、腐りは割れたところだけのようなので、使うのに問題はなさそうです。
そうだといいです。
(切り株を見て)
―黒い芯が7〜8個ありますね。その芯を中心に年輪も始まってるようです。
そんな感じですね。
―ということは、この木、まだ若い頃は7〜8本の株立ちだったんですね…
おそらく。
―その後、枯れたりで5本だけ残って、その5本がそれぞれ大きくなって行ったんですね。だから、何かの区切りみたいな黒っぽい線に見えるところ、樹皮なんですね。
そうかもしれないです。その後、年数を経て、5本がそれぞれが太くなり、触れ合うようになったところで、くっついてひとつになったんですね。面白い。
■素材データ
サイズ:(左・3本セット)①800mm、②1100mm、③1300mm、④1400mm、⑤240mm〜350mm、(右・2本セット)⑥500mm、⑦800mm、⑧1420mm、⑨1000mm、⑩280mm〜300mm
重量(推定):(左・3本セット)320kg 、(右・2本セット)240kg
状態:樹皮付き、未乾燥
樹種:コナラ
伐採時期:2022年9月
(取材後記)
現場での取材を終え、まずは3本セットを軽トラに積み込み檜原へ。残りの2本セットは別便で運びます(木田)。
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。