第134回 オレンジマルベリー

かつて養蚕という産業を支え、山村の暮らしの非常に近いところにあったクワの木を製材してもらいました。オレンジに近い濃い黄褐色の色が、木工作家さんに好まれるといいます。販売事業部・吉田に聞きました。

―これは何の木ですか?

クワですね。

―どこに生えてたんでしょう?

村内のあるお宅の裏山なんですが、所有者さんからの依頼を受けて伐りました。

―そうなんですね。

伐った後も木材として必要ないということで、どうします? ということになりまして…

―はい…

結構太いし、何か使えればと思って。道がないところなので、小型の運搬車を使って出しました。

―なるほど。

丸太を小さく切って運びましたが、重かったですよ。

―色が濃く鮮やかですね。

ほとんどオレンジですね。

もう少し薄いものもありますが、時間の経過と共に濃くなっていくのかなと思います。

―というと?

紫外線に当たると褐色が強くなるようです。日に当たってない部分は色が薄いですから。

―そうなんですね。クワは材としてはどういうふうに使われているんですか?

将棋のコマや碁石を入れる箱なんか、高級品はクワで作ってますね。

―高級品ですか?

固く、色も濃く、黒っぽくなることや木目が美しいことなどが好まれているようです。

―なるほど…

サイズは小さいものでも、木工の作家さんに人気だと聞きます。

―そうなんですね。

それからクワといえば養蚕ですね。

―ですね。葉っぱがカイコのエサになるんですよね。

そうです。かつては檜原も養蚕が盛んだったんですよ。

―そうなんですか?

山村は大抵そうですよね。かつてほどではないですが、今もクワの木はありますし、実を食べたりしますよね…。暮らしにすごく近いところにある木ですよね。

―それを製材して板にしました…

はい。何か作れたら面白いなと思っています。

―何枚くらいあるんですか?

35枚ほどあります。

■素材データ

サイズ:全長:1m弱、幅:250mm〜300mm、厚み:27mm

樹種:クワ

状態:未乾燥

伐採時期:2025年3月

(取材後記)

うちの小さな庭にもクワの木が生えてきます。植えた訳ではないですが、毎年春先に芽を伸ばし、「今年も出てきたな」と思っていると、5月にはもう背丈を超えるくらいに。うちでは育てられないので仕方なく切る…。それをここ数年、繰り返しています。かつて養蚕をやっていたかもしれない場所なので、その名残かも。もっと広ければマルベリーフィールドにできるのに(木田)。