第136回 ワンパク・クスノキ

材木置き場の片隅にど〜んと横たわるクスノキの丸太。一見、滑らかそうな表情ですが、よく見るとボコボコに波打ってねじれもあって、元気いっぱい。防虫剤に使われる香りも強烈です。販売事業部・吉田に聞きました。

―何の木ですか?

これはクスノキ。

―ここにはどういう経緯で?

原木市場(※)で買ってきたんですよ。最近の“あるある”なんですけど、お世話になっている製材所の社長さんから電話がかかってきて、「市に面白い材があるぞ、でかいクスが出てる。お前、来ないのか?」と…

※山から出荷された原木丸太を選別し、市を行うところ。東京では「多摩木材センター」(日の出町)で、毎月10日と25日に市を開催している

―それで行って、買って来たんですね。

もう、「買え」みたいな感じで言われまして(笑)。少し曲がった材でしたが、直径74センチ、4mの元玉と、この2番玉を買ってきました。

―市にはよく行くんですか?

毎回は行ってないですね。秋、冬はわりと行くし、それ以外も事前に見に行って面白い材があると、その市に行ったりもしますけど、この時は全然ノーマークでした。競りは午後1時から始まるんですが、その1時間くらい前ですかね、電話がきたのは(笑)

―競りは何社くらい参加してるんですか?

細丸太専門で買いにきてる人たちが10社、でかいのを買ってるのが10社くらいですね。あと何社か来ていて、大体いつも同じで25社くらいですね。もうほとんどみんな誰だか分かってます。

―大きい広葉樹がほしかったんですか?

最近、別件で大きいソメイヨシノを扱ったんですけど、かっこいいんですよね。もう納品先が決まっていた材なんですが、ほしいという方が多くて…

大きい丸太で、形状に動きがあって、樹皮を剥いて使えそうなものを持っておきたいなと思ってたところに出てきたので、これは買いでしょうと。

元玉はいくらか節があって、いわゆる良材ではないですが、サイズもあるし、使い方によっては面白くなりそうな感じです。

―こちら、2番玉は?

もう樹皮を剥いてるんですが、ほら、見てください、このシルクのような表情。でも触ると動物みたいな感じもするし、これも面白いなと思ってます。

―確かに一見滑らかですが、よく見るとボコボコに波打ってるし…

ねじれもいい味出してますよ。

―ですね、なんか元気いっぱいな感じがします。触ると重量感というか、しっかりした質感もあって。確かに動物的!

そうなんですよ。

―匂いも特徴ですよね。

樟脳の香りですね。防虫剤に使われる成分ですよ。

―ということは虫がつかないですか?

はっきりは言えないですが、そうかもしれないですね。

―この枝の生え際(?)も力強いですよね。

ええ、この木はもう製材しないでこのまま置いて、気に入ってくれた方と一緒にどう加工するかを考えていきたいですね。

■素材データ

サイズ:全長:3200mm、直径:560mm

樹種:クスノキ

状態:未乾燥

伐採時期:不明

(編集後記)

クスノキと言えばトトロが住んでいた巨樹もそう。ということで、社内でトトロが好きそうな雰囲気を醸し出していた某MMさんに聞いてみたところ、素晴らしいエピソードを披露してくれました。大学時代、ジブリ好きの先生が教える〈環境倫理〉のレポートを書く際、友人との雑談でこんな話をしたそうです。「トトロはタンスの匂い 笑」。確かに!(木田)