第134回 シワシワ・ウネウネ丸太
刻まれたシワシワが面白い模様を描く、うねった丸太。触ってみると、意外、ツルッとした感触も味わえます。販売事業部・吉田に聞きました。

―これは何でしょう?
これはシデの“磨き丸太”(※)ですね。
※磨き丸太:樹皮を剥いて表面を水圧やたわしなどで磨き上げた丸太。滑らかで光沢感のある木肌が特徴で、見せる建築材料として用いられる
―シデですか?
この辺の山にはよく生えてる木で、木肌がシワシワなのが特徴なんですよ。

それに背割り(※)が入ってます。
※背割り:柱材などにあらかじめ設けた割れ目。乾燥によって他の三方が割れるのを防ぐ工法
―ということは?
化粧柱という言い方をしますが、〈見せる柱〉として使う目的だったのかと思います。
―なるほど…。どういう経緯で入手したんですか?
森林組合さんからの購入です。
―そうなんですね。
はい。森林組合さんからは前にも買ったことがあるんですが、今回はある意味偶然…
―偶然?
檜原のとあるお店の前で、荷台に磨き丸太を満載した彼らのトラックを見かけたんですよ。で、その1番上に乗ってたのがこれでして…
―はい…
「面白いですね」と話しかけたら、「いります?」と。「あ、いります」と答えて…。それで購入することになりました。

―なるほど…
磨き丸太は30年前か40年前か、一時期よく取引されてた時代があって、その時代に作られたものなんだと思います。
普通はスギやヒノキの針葉樹で作ることが多いですが、こういう広葉樹でも作っていたようですね。
―結構、長さありますね。
測ってみますか…。4.3mあります。
普通の家で化粧柱として使うなら2.6mあればいいんですが、これ、4.3mあるということは、何かしらの施設で使うという想定で作られたのかもしれないですね。

―それにしても、なかなか趣のある表情ですね。
真っ直ぐ伸びてたシワが曲がって、急にうねうねしてきたりとか…
ー自然にこういう形が出てるんでよね?
そうです、元々こうしたシワが刻まれた木ですから…
―見て飽きないですね。
ここなんか、トルネードです!
―うねってますね…!

ほんと面白いですね。光沢感もあるし、触った感じも意外にツルッとして気持ちいいです。
―そうですよね…
いつぞやの誰さんかは分からないですが、ちゃんと背割りも入れて…。しっかり作ったんですね。
―磨き丸太は今はもう流行ってないですか?
もうほぼ需要はないんじゃないですか。住環境が変わって、和室自体が少なくなってるし…。そこに対してお金を払うという価値観がおそらくなくなってますよね。
―なるほど。でも、こうしてものとして磨き丸太は残ってるわけですし…
そうですね、何とかこの形で活かしたいですね。

■素材データ
サイズ:全長:4300mm、直径:300mm〜440mm
樹種:シデ
状態:乾燥
伐採時期:不明(推定1980年代)
(編集後記)
「木工の作業のほとんどは磨くこと」と、前に聞いたことがあります。仕上げにやすりをかけたり、ベルトサンダーを使ったり、いわゆる研磨です。確かに、弊社工房でも常に誰かが何かをピカピカにしてます!(木田)
