第145回 トレンディ・クスノキ

前回紹介した「サンカク・クスノキ」。丸太を製材する過程で初めに切り落とした部分があの“サンカク”でした。今回紹介するのは、そのとき製材された〈板〉です。販売事業部・吉田に聞きました。

―これは何の木ですか?

匂いを嗅いでいただくとすぐ分かると思いますが、鼻にツンとくる、防虫剤で有名なクスノキです(笑)

―クスノキというと前回も紹介してました…

 

同じ木なんですよ。製材する時に切り落とした部分が前回紹介した「サンカク・クスノキ」で、その時製材されたのが、今回ご紹介する〈板〉です。

 

―なるほど…。第一印象ですが、厚みもあるし樹皮もゴワゴワだし、ずいぶん迫力ありますね。

 

そうですね。

クスノキはお寺や神社、公園などでによく植えられているので、名前を聞いたことがある方も多いと思います。が、実は製材したことはもちろん、材として取り扱ったこともないんですよ。それがたまたま原木市場に長さ4mを超える比較的大きい丸太が出ていたので、面白そうだなと思い購入しました。

―それで挽いてみたんですね…?

 

はい。ただ、ほんと、どういう使い方がいいのか悩んでしまって、買ってから4ヶ月くらいは丸太のまま置いてたんです。でも、そうしてもいられないし、ちょうど他の案件で山梨の製材所へ行くことになったので、そのタイミングで挽いてもらいました。

 

―綺麗な板ですね…

 

そうなんですよ。サイズ的にもカウンターにちょうどいいかなと思ってます。

 

―カウンターですか?

 

はい、製材所で聞いたんですが、広葉樹材には流行りがあるみたいで、今はカウンター材が流行ってると…

 

―カウンターが流行ってる?

 

はい、10年〜15年スパンでの流行りですけど、今、人気あるそうなんですよ。

で、この板、サイズ的に1枚板の天板としてはちょっと狭いですかね〜というような話をして、それでカウンターにということで挽いていただきました。

―流行があるというのは面白いですね。ちなみにクスノキ自体は人気なんですか?

 

この間、岐阜の銘木市(※)に行ってきたんですが、クスノキ自体人気で、比較的大きいものにはいい値がついてました。

 

※岐阜の銘木市:全国から銘木(サイズや樹齢、色味や木目の美しさなど希少価値を持つもの)が集まる日本最大級の市

 

―ちなみにいくらくらいですか?

 

1m3(※)で10万、15万、20万…大きいものだと30万ぐらいしてました。

 

※1m3:丸太の取引単位で、縦横奥行き1mで体積1m3。ヒノキは大径材(直径30cm以上)の長さ4mが26,000円/1m3くらい

―確かにそうですね。人気のポイントは何でしょう?

 

木目や色味が特徴的なんですよ。全体的にちょっと褐色なんですが、たまに赤い線が入って綺麗です。

 

―確かに。全体的に落ち着いた感じですね。

 

ですよね。

 

―かなりボリュームありますが、乾燥はどれくらいかかりそうですか?

天然乾燥でひとまず1年ですかね。それで含水率(※)が25%ぐらいまで下がっていれば乾燥炉に入れて、という感じです。

 

製材中の写真です。赤がより目立って見えています↓

■素材データ

サイズ:全長:4300mm、幅:700mm〜950mm、厚み:65mm〜125mm

樹種:クスノキ

状態:未乾燥

 

(編集後記)
本文で触れた〈岐阜の銘木市〉で1番人気があったのがトチノキ。トチノキの競りになると市場の雰囲気が変わるそうで、数百本出品された最後に出てきた4mの丸太をめぐっては、出品した伐り手と市場の競り子、そこに某材木店の会長が絡んで、アチアチのドラマチックな一幕が演じられたとのこと。詳しくお聞きになりたい場合は、ぜひ檜原まで! 吉田が話してくれると思います 笑(木田)