第144回 サンカク・クスノキ
以前、紹介した「ワンパク・クスノキ」のさらに根本に近い部分(元玉)を製材していただいたところ、この不思議な〈サンカク〉が姿を表しました。一体、何?? 販売事業部・吉田に聞きました。

―あ、強烈に匂ってきましたね…、でも、嫌いじゃないです、この匂い。嫌いじゃないです(笑)これ、何の木でしょう?
クスノキです。前に紹介した丸太の元玉を製材した際に出てきたものです。
―そうか、クスノキですか。だからこの匂いなんですね。
樟脳(しょうのう)ですね。防虫剤に使う…
―ですよね。すーっとします。
清涼感ありますね。このまま置いておくと、だんだん匂いを感じなくなりますが、削ればまた復活しますよ。
―木材のいいところですね。
はい。

―では、気になるこの形についてお聞きしたいです。
丸太、特に元玉はそうですが、根本に向けて末広がりになってるんですよ。で、板に製材する過程で、その広がりを少しづつ切り落としていくんですが、その落とした部分です。
―それですか…なるほど。つまり、板の副産物なんですね。
そうです。これは、これを取ろうと思って取ったわけじゃなくて、〈根張り〉と言いますが、板にするとき余計な部分をスライスしたものなんです。
―そうなんですね。普通は捨てられてしまう?
ですね、特に使うものではないですね。でもそれを製材所で横によけて取っておいてくれたんです。
―チェンソーズなら使うだろうと。
はい、最近多くなってきてますね、こうしたケース。嬉しいですね(笑)

―木目が独特ですね。
三角形のタケノコ状になるのが特徴です。さらにはこのグラデーション!
―揺らぎがすごいですね。浮遊感があります。
それにところどころ、赤が混ざってるんですよ。
―そうですね。
この形状でどう使うかですが、看板なんかいいかなと思っています。この大きさはなかなかないですよ。

■素材データ
サイズ:(大)高さ:2600mm、幅:860mm、厚み:40mm(小)高さ:1700mm、幅:800mm、厚み:40mm
樹種:クスノキ
状態:未乾燥
(編集後記)
週末に行ったイベントで、〈土絵の具〉というものを、恥ずかしながら初めて知りました。土に水とのりを混ぜて作る〈土絵の具〉は、検索するといろいろな情報が出てくるくらい、広く認知されているもののようです…〈根張り〉も似たようなものかもしれません。世の中には、誰かは当たり前に知ってるものでも、知らない人もそれなりにいる、と改めて感想(木田)。