2015.11.12
ワイン傾け思うこと
すっかり秋ですね。車のフロントガラスがよく曇るようになると季節の移り変わりを感じます。
秋といえば食欲の秋。
先日、高校の同級生を訪ねて山梨へ行ってきました。
山梨といえば、、、そう、ワインですね〜〜〜
ワインに目がない人間としては、山梨に行ったからにはワインセラーを巡り、ワインを呑まずにはいられません!!
・・・嘘です。ほんとはワインのことなんて全然わからず、呑むのも年に数える程度。
とりあえず酒呑みたいというだけです。
味の違いもろくにわからないので、この機会にたくさん飲み比べて少しは舌を肥えさせられたら儲けもんです。
さてそんなわけで、とくに好きな銘柄もないのでどこに行ったらいいかわからない。
そんな入門者にうってつけの場所がありました!
甲州市勝沼の「ぶどうの丘」。
ここ、大きなワインカーブに甲州市推奨の約200銘柄のワインが取り揃えられ、専用の試飲容器タートヴァンを1100円で購入すれば、あとは試飲し放題!なんてこった!!行くっきゃない!
そんなわけで意気揚々と最寄りの「勝沼ぶどう郷駅」で下車し、「ぶどうの丘」へ向かいます。
その道中、ふと道の脇を見るとぶどう農園の直売所。美味しそうなぶどうや焼きたてレーズンパン、自家製ワインが並んでいます。
昼食前で小腹が空いていたこともあり、パンを購入、その場でもぐもぐ食べていると、若いお兄ちゃんが話しかけてきました。
どうやら農園のご子息。大学では農学を学び、卒業後は海外のぶどう農園へ1年研修に行き、いよいよ家業を継ごうと先日帰国したばかりとか。
なんて志の高い!
まるでお金を落としそうにない僕らにも快く農園の話や、ぶどうの栽培方法、ワインの製造工程を説明し、
ワイン工場見学や自家製ワインの試飲までさせてくれました。
「ぶどうの丘」に着く前から思わぬ嬉しい出会い。
同世代の若者が語る少量生産ならではのこだわりや、ワインの味わい方を聞きながら呑むワインは、
ワインの味を知らない自分にとっても刺激的で特別美味しく感じられました。
さてさて、肝心の「ぶどうの丘」での飲み放題はというと、
最初の5、6杯までは味の違いを楽しんでいたように思いますが、そのあとは・・・。
とにかくワインをたくさん飲めて酔うことができます!!アハハッ
舌が完全に狂った僕は「ぶどうの丘」でお土産のワインを選ぶことなんて到底できず、
帰り道、最初に出会った若者がいる農園で白ワインを求めたのでした。
(ほんとにこの農園のワイン美味しいんですよ!うちに帰ってあらためてゆっくり呑んでみましたがやっぱり美味しかったですもん!)
その夜、友人宅で遅くまでワイン含め、たらふく飲酒し、翌日は昼前に起きるという。。。目的のワインセラー巡りはどうなった。。
とりあえずせっかく来たのだから観光はしようと紅葉美しい甲府の名勝「昇仙峡」へ行き、
でかそうだからと近場にあったサントリーの「登美の丘ワイナリー」へ。
昨日の農園とは対局にあるような国内有数の巨大ワイナリーです。
手の行き届いた施設とサービス、園内のスタッフは揃いの制服を着てちょっとしたテーマパークのよう。
本当は80分の見学ツアーに参加したいところでしたが、昼前に起きた僕らにはあまり時間がありません。
ショップにずらりと並ぶワインを眺め、20分のミニ講座に参加しました。
ドローンを使った広大な農園の映像や製造工程をわかりやすくまとめたパネル、ワインの原料となるぶどうの試食に聞き取りやすいアナウンス。
さすがの質です。ミニ講座でも十分楽しめます。
なにより良かったのは、やはりここでも生産者の声。
講座の案内をしてくれたのは、「登美の丘」でぶどう栽培に携わる方。
大規模農園での栽培方法から長い歴史の中で作り上げてきたこだわりの土作りにいたるまで、
現場人ならではの実感を伴った話は聞いていてとても面白く、また営業然としてなくていいのです。
自分たちの農園を見て欲しい、作業工程やこだわりを知って欲しいという純粋な思いが伝わってきて、聞いていて素直に、ああこれはいいワインができそうだなと思えるのです。
そんなわけで昨日の農園の若者との出会いも含め、しみじみ生産者の声を届けるって大切だなと思いました。
生産者の人となりや込められた思いやこだわり、歴史を知れば知るほど、売り手と買い手の間に製品の売買、金銭のやりとりだけでは済まされない関係性が生まれてくるように思います。
互いの顔や人柄がわかるからこそ真摯に製品に向き合い、届け、受け取るという責任感のような。
さて林業界を振り返ってみるとどうでしょう。
こうした製品の販売方法、生産者と消費者が語り合い互いに製品価値や特性を確認し合う場って築けているでしょうか。
足を踏み入れたばかりの僕は業界のことを語るほどの見識はちっとも持ち合わせていないのですが、
少なくとも一番身近なところ、チェンソーズではこうした取り組みをしたいと思える自由とできる可能性があるように感じます。
どんな思いで、どんなこだわりを持って仕事をしているのか、やっていきたいのか。
なかなか不慣れなものでうまくお伝えすることができないかもしれませんが伝えたい。
そんな思いを持って木に、仕事に、お客さんに向き合いたいと思います。
昇仙峡に行った時、小雨が降っていたのですが、用意の悪い僕らが傘もささずに歩いていると、
歩道沿いに立つ飲食店のおやじさんが、「まだ結構歩くよ〜」「濡れちゃうよ〜」と気さくに声をかけてくれ、
それとなく、あとで返してくれればいいからと傘を貸してくれました。
ちょうどお昼頃で歩道沿いにはいくつもの飲食店が立ち並びさんざんどこかに寄ろうかと考えましたが、
傘借りちゃったし、おやじさんいい人そうだったしと思うと他のお店で食事を済ますことも憚られ、
まんまと思惑にはまっちゃったなと若干思いながらも別にそれほど嫌な気はせず、
帰り際に傘を返しがてら食事をしにお店に寄ると、
おやじさんが満面の笑みで義理堅いね〜!嬉しいな!サービスするよ!と迎えてくれるのでした。
ほんとちょっとした山梨の旅でしたが、
なんかもうどこへいっても素敵な人との出会いがあり、いろいろ思い、考えたいい旅でした。
(加藤)
この日記を書いた人
加藤 真己
加藤 真己
1989年生まれ。埼玉県飯能市出身。武蔵大学人文学部卒。獅子舞などの郷土芸能好き。日々の暮らしと仕事、文化が直結するような地域密着の職を求め、大好きな獅子舞を作り上げた先人たちが多くやってきた山仕事への関心が高まり、現職に。