2016.03.02
新しくする仕事
すっかり春めいてきましたね。
今の時期は七十二候では第六候「草木、萌え動く」だそうです。
花粉も飛び始めてきましたし暦通りなんでしょうか。
さて、皆さんは「新」という字の成り立ちをご存知でしょうか?
実はこの文字、林業と少し関係がある文字なのかもしれません。
木が入ってるし。
小学生の頃、「新」は”立”っている”木”を”斧”で伐るところを表しているんだと習いました。
では、なんで木を伐ることが新しいのか?
その時、先生は木を伐って新しい土地を作ったから、と”土地”の方を強調していました。
しかし、僕はこの仕事を始めてから、それもあるかもしれないけれどもっと適切な由来があるのではと感じ始めました。
薄暗い林内で、木漏れ日を受けて輝く切り株の切り口を見た時、新しいのはこっちだ!と感じたのです。
製材所で古そうに見えた丸太から、綺麗な木目があらわれるところをみるとなおさらそう感じます。
気になって調べてみると、やはりそのようです。
昔の人は新しい家ではなく、新しい宝石でもなく、新しい服でもなければ、新しい武器でもなく、伐った木をみて「新」という漢字を作ったのです。
そして新しい木口は常に古いところからあらわれます。そのことで強調され、より新しく感じるのではないでしょうか。
何十年とそこに立っていた木が、伐倒されることで新しくなる。
林業とは新しくする仕事なんです。
飯塚
この日記を書いた人
飯塚 達郎
飯塚 達郎
1986年生まれ。埼玉県新座市出身。琉球大学農学部卒。食品製造の工場勤務を1年経た後、「自然の中で働きたい」と転職。愛読書は植物図鑑、渓流釣りが趣味。ツリークライミング®ジャパン公認ファシリテーター。