2016.08.31

夏の音 -tanna japonensis-

7月に書く予定だったブログが気づいてみれば8月最終日になってしまいました。
あまりにも更新しなかったので順番的には次の飯塚くんに越されてしまいました。。。
その飯塚氏のブログにあったように弊社の夏はほぼ下刈り一色。

社有林 下刈り作業前

社有林 下刈り作業前


社有林 下刈り作業後

社有林 下刈り作業後


毎年夏は下刈りに追われ、気づいたら夏が終わっているというパターンがここ数年続いている弊社です。
みなさんはどんな夏を過ごされたのでしょうか?
さてさて、タイトルの「夏の音」ですが、夏の音と聞いて連想するのはどんな音ですか?
私は都心で生活していた頃、夏と言えばアブラゼミとミンミンゼミの鳴き声でした。
特にアブラゼミの声は耳を劈くような、聞いているだけで更に暑くなる、うるさいなーというのが正直なところ。タダでさえ暑いんだから勘弁して。
山仕事を始めて丸6年。
そんなセミに対しての偏見もガラッと変わりました。
梅雨の頃から山々へ木霊する「かなかなかなかな」というセミの声をご存知ですか?
俳句では秋の季語として使われるヒグラシです。
名前から想像すると夕暮れ時のみに鳴くかと思いきや、夕暮れ時はもちろん明け方や暗い林内など光が弱い環境であればいつでも鳴きます。我が家(標高650m)では夏の間毎朝布団の中から外のヒグラシの声が聞こえてきます。
その鳴き声は音量も他のセミほど大きくなく、消え行きそうな哀愁漂う声。
消え行きそうだけれどもどこか涼しさを運んでくる声。
「かなかなかなかな〜」
ちょっと曇っている日の下刈り日、最後の休憩を取っている際に自分が刈ってきた山を見ながらヒグラシの声に360度包まれるとなんだかとても不思議な気分になります。ちょっと大げさかもだけど、そんな瞬間は山仕事をして良かったなリストのトップ5に入るかな。
ちなみに「tanna japonensis」がヒグラシの学名です。
台湾にも亜種でソウザンヒグラシというのが生息しているようですが、この控えめで哀愁漂う声は日本特有なのかもしれませんねー。

この日記を書いた人

吉田 尚樹

吉田 尚樹

1978年生まれ。東京都杉並区出身。マカレスター大学文化人類学部卒(アメリカ)。外資コンサルティング会社に8年勤務後、「社会と自分にとって意義のある仕事」を求め、林業に転職。一家で檜原村へ移住。現在二児のパパ。

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