2021.09.06

山から川へ、そして皆様のご自宅へ

酷暑だと思っていたら、記録的な大雨が続き各地で土砂災害が発生しております

被害を受けられた皆様には、心よりお見舞い申し上げます

さて、私の出身地である羽村市には非常に珍しい投渡堰(なげわたしぜき)という取水堰があります

多摩川に設置されているこの堰は長さ約40メートルもあり

コンクリート製の4本の橋脚に鋼製の桁が渡されています

この桁に投渡木(なぎ)と呼ばれる杉丸太を横に渡し粗朶(そだ)・筵(むしろ)・砂利を順番に重ねてあります

※粗朶・・・竹や木の枝などを束ねたもの 筵・・・藁(わら)や藺草(いぐさ)などで編んだ敷物

 

何が珍しいかと言うと、大雨等で多摩川が増水すると桁を引き上げて

杉丸太・粗朶・筵・砂利全てを一気に下流へ流してしまいます(投渡木払い)

子供の頃はサイレンが鳴ると大迫力の投渡木払いを見に行ったものです

※危険なので良い子の皆様は真似しないように

この堰の仕組みは江戸時代から変わっていないそうで今では全国でもここだけなんだそうです

 

さて東京都の皆様が普段飲んでいる水道水はどこから来たものか知っていますか?

山から多摩川に流れ込んだ水は、羽村取水堰で本流と玉川上水に別れます

玉川上水は地下道水管によって多摩湖と狭山湖へ

そこから東村山浄水場へ送水されて、安心して飲むことが出来るよう浄水されています

※多摩川水系は東京都の水源の17%、利根川及び荒川水系が80%だそうです

 

投渡堰、江戸時代から変わらない仕組み

こんな杉丸太の使い道もあるんです

 

 

この日記を書いた人

鳴島 浩二

鳴島 浩二

1979年生まれ。東京都羽村市出身。東海大学工学部卒。元小笠原海洋センター所長。小笠原諸島やインドネシアで海洋生物(ウミガメ、クジラ)の調査研究をしていた海の男。海洋環境を保全するにはと考えた結果、第一次産業の要である林業に辿り着く。

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