森デリバリー
〜木とおともだちになろう!まちの子どもたちに知ってもらいたいこと〜
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2024年1月下旬。東京・町田市にある認定こども園 きそ幼稚園(運営:学校法人中島学園)に森をデリバリーしてきました。
実は東京チェンソーズがこちらの園にお邪魔するのは今年で3年目。毎回年少、年中、年長とクラスごとに分かれ、発達に応じた3種類の木工ワークショップメニューを行なっています。
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どのクラスでも、まず初めに私たち東京チェンソーズが何者なのか?檜原村がどんな場所なのか?説明をしてから、森のお話をします。
今回のテーマは「木とともだちになってほしい」ということ。生活の中で目にする木製品は、その形になり、製品としての機能を持つがゆえに、“もともと生き物である木から作られている”ということが感じにくいものです。
赤ちゃんの苗木を見せたり、なるべく子どもたちがイメージしやすいような言葉を選びながらお話しています。
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午前中は満3歳児さんと年少さんを合わせた80人クラスからスタート。まだまだ小さな子どもたちながら、みんなきちんと先生や私たちのお話を聞いてくれるのです。
このクラスでは“細丸太”を使った「手回しコマ」を作ります。
「手回しコマ」はまずは丸太のワギリを紙やすりで磨くところからスタート。持ち方のコツを伝えたら、みんな一生懸命磨き始めます。
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小さな手で丸を描きながら磨くのは意外と大変。隣のお友だちと比べたり、先生にみてもらいながらツルツルにしてゆきます。
紙やすりのあとはペンでお絵描き!個性豊かな作品が続々と生まれます。
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最後に、中央の穴に木軸を入れて完成!ぜひおうちでもお父さんお母さんと一緒に遊んでみてほしいです。
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お次は4歳児クラス。去年コマを作った子たち、年中さんになったら“丸太ぽっくり”(半割りバージョン)を作るよ!
こちらは少し大きめの丸太を半分に割ったものを使うので、紙やすりで磨く箇所もぐーんと増えます。しかも両足分、2つ磨かないといけないのでみんな一生懸命!
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途中でお話の中で見せた赤ちゃん苗木を実際に持ってみせたり。
がんばるみんなの様子に、ついつい森デリ担当の塚本も笑顔がこぼれます。
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いっしょうけんめい磨いた“ぽっくり”に自由にお絵描きをし、紐を通して結んだら丸太ぽっくりの出来上がり!
さっそく教室で試しに歩いてみます。このゆらゆら、なんと2way仕様で、ひっくり返すと足裏が気持ちいい〜(大人は少し痛いかもしれません笑)
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お昼を挟んで年長さんクラス。去年まではヒノキのスプーン作りだったのですが、今年は先生のリクエストで“小学生になって使えるもの“ということで「丸太のペン立て」をご用意しました。細い丸太を斜めにカットし、年輪がよく見えるのがポイント。
こちらも最初は紙やすりでバリをとります。さすが木工教室3年目の子たち、紙やすりの使い方も上手です。
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つるつるになったらオイルを塗って仕上げます。今回は、なんと生のクルミを砕いて出てくるクルミオイルを使いました!
(※事前にクルミアレルギーを把握していたお子さん達については席を分け、別のオイルを使用しました)
木でトントン叩いて
よーく擦り込みます。
食べるクルミからこんなふうにオイルを出すことができるなんて!園の先生たちもすっかり感心されていた様子。
さあ、もうすぐ一年生になるみんな。このペン立てを使って、おうちでの勉強も頑張ってくれたら嬉しいな。
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町田駅は交通アクセスもよく、賑やかな街というイメージがありますが、きそ幼稚園はそこから少し離れた多摩丘陵の南端に位置し、公園が多く里山の自然が豊かなエリアと閑静な住宅地とのちょうど境目にあたります。
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「森林」というと檜原村や奥多摩エリアの山間部のイメージがあるかもしれませんが、実は住宅地の裏手に広がる丘陵地、学校や公園の木立も立派な「森」。そういった森に求められる機能は、やはり人が自然と触れ合う“場”なのかなと思います。
きそ幼稚園様では、木に触れ合ったり本格的な工作をするイベントを、自分たちだけでは安全面含めなかなか用意できないため、外部のプロに来てもらえることは非常に助かっているとのこと。
また、年に一回の「森デリバリー」イベントを継続していくことで、「これまであまり自然や木に関心がなかった若い先生にとっても、身近な自然に触れ合ったり、自然物への興味・好奇心が高まったきっかけになっている」と話してくれました。
子どもたちはもちろん、日々の保育で忙しい先生達にとっても、私たち森デリバリーが森への関心の入り口になっているんだなと実感。
今回私たちが伝えた「木とともだちになってほしい」というメッセージが子どもたちの心に少しでも残り、自分たちのくらしの周りにある森や木が、よりいっそう身近なものになってくれたら嬉しいです。
幼稚園・保育園や商業施設、イベント等への出張承ります