2020.08.20

磨くということ

こんにちは木工担当関谷です。

今日はヤスリがけの魅力についてお話したいと思います。

みなさん木をヤスリで磨いたことはありますか?
図工や技術の授業でやったことがある人も多いかも知れませんね。

結構面倒ではありませんでしたか?笑
実は僕自身も面倒だなと思う加工の一つです。

しかし、ヤスリがけは奥が深く魅力にあふれています。

あたり前ですが何も考えずにただ擦っていても綺麗にはなりません。
「木目の方向」や「繊維の流れ方」「表面の状態」それらを把握した上で適切なヤスリを使って加工します。

チェンソーズの木工は「林業会社の木工」。
普段なかなか触れられない素材を沢山扱っていて、僕は日々それらを磨いています。
毎日木に触れ同じ様な加工を繰り返しますが、飽きないのは不思議ですね。

加工する前は汚く見える素材でも、加工を進め磨いて行くうちに僕のテンションは徐々に上がっていきます。
眠っていた「木目」や木の持つ「色・艶」想像していなかった表情が浮かび上がって来るたびに僕は幸せを感じています。

木は生き物です。
一つとして同じものは存在しないので、簡単に綺麗になってくれる子もいれば、中々綺麗になってくれず頭を悩ませる事もあります。
人と対話するのと同じ、一つ一つの素材とコミュニケーションを交わしてその子の魅力を引き出す。
それが僕の役割だと思っています。

なんか話が脱線しかけましたが、
つまり何が言いたいのかというと「生かすも殺すもヤスリがけしだい」という事です。

文字だけでは伝わらないと思うので、写真を見ながら具体的な話もしたいと思います。
僕が好きな素材の一つ「根張り」です。


↑これが根張りです。

樹木の根元の張り出た部分を切り取ったもので面白い形をしていますが、面白いのは外見だけではありません。
内部の繊維にもうねりが生じていて艶も他の素材と違います。
綺麗に磨いた後オイルで仕上げるのですが、毎回オイルを塗る瞬間が楽しみです。
オイルを塗るとより表情がはっきり現れる上、木の持つ艶も際立ちます。


↑これは根張りを用いて作った「木べら」です。


↑「きこりのスローピー」という商品の根張りです。

さて写真で伝わったでしょうか?
写真でも全ては伝えきれないですね。
粘りの魅力は光の加減による材の煌めきなので、ぜひ一度実物を見てもらえればと思います。

ちなみにこのヘラは「自分で仕上げる根張りのスパチュラ」としてオンラインストアで販売もしているのでもしご興味あればチャレンジしてみてください。
その他イベント出展時にはワークショップとしてスタッフが磨き方も指導しますので機会があればぜひいらしてください。

運よく僕がいればマニアックな素材の話が聞けるかも知れません笑

長くなってしまいましたが、
ヤスリがけの魅力伝わったでしょうか?
まだまだ語りたいことはありますが今日はこんなところで切り上げます。
また素材の魅力をお伝えできる日を楽しみに。
読んでくださりありがとうございました。
関谷駿

【おまけ】

↑これは過去に磨いたヒノキの板です。
*記事冒頭の写真は枝を縦に割いて磨いたものです。

この日記を書いた人

関谷 駿

関谷 駿

1992生まれ。東京都羽村市出身。東京環境工科専門学校卒業。その後、造園土木、林業、木のおもちゃ工房などの職を経験。チェンソーズでは木材加工を担当。10歳から木工が趣味で、たいてい実年齢より上に見られる。

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