2022.03.07

魅力ある山への第一歩

ふきのとうが芽を出しました。

暖かい日が多くなり春も目前です。

今年の冬は毎年恒例の間伐や枝打ちなど公共事業の仕事はほとんどしませんでした。

 

その代わりにしていた仕事が作業道の作設です。

私の地元である埼玉県飯能市下名栗地区は「西川材」と呼ばれる材木を生産する林業地で、

地域を囲む山々には見渡す限りスギ・ヒノキの森林が広がっています。

 

しかし「西川材」と名のつく林業地とはいえ林業従事者の高齢化と作業者の減少は進み、

60年、70年と大きく成長した木々がそこら中にあるのにその山を活かせない状態が多く見受けられます。

もう山に価値を見出す人も少なくなって、負担に思っているぐらいです。

 

そんな山に価値を生み、新たな魅力を作ることが弊社の仕事だと考えています。

販売先や木や森の新たな利用方法を開拓することも大事な仕事ですが、

それと同時に木を伐り出したり、山に入りやすくすることも欠かせません。

その第一歩となるのが作業道です。

急な斜面に立派な木々が立ち並んでいても、伐ることはできても搬出するのは容易ではありません。

素敵な風景と思っても、気軽に行くのも多くの人々を山にお連れすることも難しい。

そこにしっかりとした作業道が付くことで、

作業道の周りの木は伐り出しやすくなり、

山の中の作業場へのアクセスもしやすく安全な経路が確保され、

子供から老人まで、地元の人から都会の人まで、誰でも山にお連れすることができるようになります。

広大な山が突然在庫となり、可能性の溢れたフィールドとなるのです。

 

作業としては何度も山を歩いて路線を見定め、淡々と重機に乗り続けて土を掘り返し、地道に木組みを作っていくという

至って地味な作業が続きますが、

こんな作業も修行のようで個人的には好きです。

最近はポッドキャストという楽しく有益なメディアも溢れておりまして、

仕事をしながら新しい世界を知り、勉強もできるという時代です。

(最近のお気に入りは『COTEN RADIO』と『OVER THE SUN』です。『ちょうどいい材木ラジオ』も欠かせませんね。新鋭の『自然資本論』も要チェックです)

どんな山になっていくかはまだまだ予想もつきませんが、

作業道がつくことでたくさんの可能性が山に出てくる。

そんな魅力ある山が地元に次々と作って行けたら、

山間地域もなんだか今まで以上に魅力ある地域になりそうじゃないですか?

そしたら人も集うし、仕事も生まれ、若者も住むようになりそうだし。

夢物語みたいな話ですが、そんなことを想像できる仕事っていいなと思います。

 

あとは実績を積み上げて実現させていくだけです。

大きなことはできませが少しづつやっていこうと思います。

 

加藤

この日記を書いた人

加藤 真己

加藤 真己

1989年生まれ。埼玉県飯能市出身。武蔵大学人文学部卒。獅子舞などの郷土芸能好き。日々の暮らしと仕事、文化が直結するような地域密着の職を求め、大好きな獅子舞を作り上げた先人たちが多くやってきた山仕事への関心が高まり、現職に。

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