2021.11.09

第41回 100年超えヒノキの梁材〜天然乾燥3年半

見るだけで力強さを感じさせるヒノキ材。建築材として使う予定なんだとか。
マテリアル販売事業部・吉田に聞きました。

―建築材として使うそうですね?

そうなんですよ、あまり建築材は扱ってないんですけど…

―建築の何に使うんですか?

これ、梁にいいんじゃないかと思って。

―何か理由あるんですか?

あるんです。順を追って木の特徴を話しますね 笑
まずは年輪を見てください。初期段階の年輪の間隔が非常に狭いですね。これは実生(みしょう)の木なんですよ。

―自然に落ちた種から発芽した木ですね。

そうです。皆伐のあと一斉に植えた木と違って、周囲は大きい木ばからだったと考えられるんで、初めは光を遮られて成長が遅いんです。だから年輪の目が詰まってる。

―ということは、強い?

そうです。

―何年生くらいですか?

100年超えてます。

―どこにあった木ですか?

これは社有林。となりとの境木(さかいぎ)だったんですよ。

―山の境界の目印になる木ですね。

ええ、このへんでは“たてき”といいますが、境界ラインを縦に一列並んでる木のことです。
作業道を作る際にそのルート上にあった木で、できれば迂回したいところでしたが、あの場所はそこしか道を通せなかったんです。で、仕方なく伐りました。

―梁にするのはなぜ?

ここの芯の流れを見てください(右の木)。

―曲がってますね。

そうです。曲がってた部分を製材して真っ直ぐに取ってるんです。
この木にはその曲がりを戻そうとする力がありまして、それが柱を支える梁に向いてるんです。梁のために生まれたようなものです 笑

―そうなんですね。もう1本(写真上)も同じ木ですか?

同じです。この木のもっと先っぽの方ですね。
大きい節がいっぱい出てるじゃないですか。枝の多い、上の部分だったんです。これも節を生かした梁材として使うといいかと思います。

―どれくらい乾燥させてあるんですか?

ここ見てください。2018年の3月に製材してるんです。だからもうかれこれ3年半。

―けっこう経ってますね。天然乾燥ですよね?

そう。

―割れも自然ですか?

ふつうは背割れを入れて使ったりすると思いますが、割れも自然に入ったのをそのまま生かして使います。

■素材データ
サイズ:長さ:4300mm、幅:280mm、厚み:160mm
状態:樹皮剥き、乾燥
樹種:ヒノキ
伐採時期:2018年2月
重量:推定100kg

(取材後記)
工学院大学建築科とのプロジェクトで、運動部の部室や倉庫など、学校の施設を少しずつ木造で立て直して行くというものがあります。将来の建築界を支えるであろう若い人が木造建築を学ぶ実践の場となる活動に、木材の供給をしています。
建築材はこういうところでも活躍してます(木田)。

この日記を書いた人

木田 正人

木田 正人

1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。

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