まるごとニュースレター

2021/02/23

第6回 ”モミの国”へ行ってみませんか?

当社の社有林の一番上にやってきました。尾根地形のここはモミの適地。タネからどんどん育ちます。古いものは90年になるとも。マテリアル販売事業部・吉田に聞きました。

——モミは尾根に多いですか?

そうですね、モミはやせた土地を好むんです。尾根は水分少ないし、養分も少ない。そういう所におそらく昔からモミがあって、そこからタネが落ちて…。向こうにタネから育ってるモミがありますよ。

このへん、モミが天然更新(人が植林せずに自然に地面に落ちた種から芽が出て育つこと)しています。すごいですね、これぜんぶモミ。半径2mくらいの間に10本くらいある。

——古い木も多いんですか?

この付近の伐採で太いのを5〜6本伐りましたが、その年輪見ると、90年超えていたのもあります。いま、周りのスギ・ヒノキは70年だから、その前から自生してたんですね。

——70年ほど前、もともとモミや広葉樹があった場所にスギ・ヒノキを植林したんですね?

そういうことです。

こっちは、スギ・ヒノキを植林したんでしょうけど、2~3割残ってあとは広葉樹とモミの林になってます。ある意味、檜原の尾根ってことでは自然な光景です。
同じタイミングで植えても、モミは枝張りがいいからヒノキは負けちゃんですよ。その枝下に入っちゃうともう上に行けなくて、成長できない。

もともと、西多摩の山にはモミがあって、日の出町では塔婆(供養のためにお墓に建てる板)や棺桶をモミで作っていて、そういう産業が今もあります。

——モミは伐採するときヒノキなんかと違う?

針葉樹なんで基本はまっすぐですけど、スギ・ヒノキに比べると曲がりがあります。なので少し難しいですね。

——モミは伐ると独特の匂いがありますね。

伐り立ては不思議な匂いがしますね。だけど乾燥するとなくなる。
それに関係するのかもしれないですけど、虫を寄せ付けないので、内装材で使うと消臭効果や防虫効果が高く、アレルギーの症状が減ったという話も製材所で聞いたことがあります。

下に大きい切り株があるでしょう。高さ30mはゆうに超えてて、40cm のチェンソーのバーが全然届かなくて。根元の直径が1mくらい。胸高直径も80cm超えてたと思います。

——あれが90年ですか?

90年超えてましたね、数えたら。

(下の大きい株を見に行く)

伐ってからもう3年くらい。真っ直ぐだし、綺麗でした。モミは色が白くて綺麗なんですよ。

この一番玉は市場に出して、関西にモミ専門の業者さんがいて、その人が買ってくれました。2番3番は2mに切って天板に挽いたのを都内のバーでカウンターとして使ってもらってます。

そのオーナーさんが天板を選びに来た日、最後に山もご案内して、この株だったんですよとお話ししたら、めちゃくちゃ写真撮ってました。お店に飾ってましたよ。

——生きてたところまで見に来れるのはいいね。

そういうことがしたいし、そういうことができる環境にあるということですね、僕たち。

(乾燥場へ天板を見に行く)

——さっき話してた板ですね。

6枚あったんですけど、残すところ2枚。
日焼けして黄色っぽく見えるけど削るとまた真っ白な板が出てきますよ。

——年輪幅、けっこう大きいですね?

そうですね。それなりに詰まってるけど成長が早いんです。

——モミは暴れやすい(乾燥する課程で反りやねじれが生じやすい)と聞きますが?

スギ・ヒノキに比べるとゆがみます。なので、乾燥させてゆがみが出てから平らに削って納品ですね。

——これはまだ乾燥させますか?

いや、もう大丈夫でしょう。含水率15%下回ってるんじゃないかな。これからはそう動く(反る・ねじれる)ことはないですね。
これ、テーブルにいいですよ。

(実際に削るとこんな感じ。ゆるやかな曲線と節が趣あります)

⬛︎ 素材データ
サイズ:幅:2200mm、奥行き:630mm、高さ:60mm
状態:樹皮皮剥き
材種:モミ
伐採時期:2018m年秋
重量:推定20kg

(取材後記)
その木が立っていたところまで見に行けたのは、バーのオーナーさん感慨一入だったと思います。長く愛されるカウンターになりそうです(木田)。