2021.01.26

第2回 台風被害で倒れた大木の根株でつくるテーブルはいかが?

樹齢160年を超えるスギの大木。台風で倒れてしまったこの大木の根株(ねかぶ)を使って、大人が寝転べるサイズの大テーブル、いかがでしょう?

——大きいですね!

スギの切り株です。サイズは横が2m40cm 、縦が1m40cmとかなりでかいです。
年輪を数えてみたら165年位なので、伐採年から計算すると1853年、何と江戸時代から生きていたことになります。明治維新が1868年なのでその15年前、江戸幕府の最後ですね。

——どこの木ですか?

青梅市の成木です。2018年の台風で倒れてしまった木で、処理してほしいという依頼があって。あのあたりは昔から林業が盛んだったところで、100年越えの木がたくさんあったそうです。

この木は元玉(もとだま:木の一番根元部分)を6mに切って搬出しました。そのあとは4mで5番玉まで出して販売しました(元玉から上に向かって順次2番玉、順次3番玉…と呼びます)。さらにその上にもずっと伸びていて、高さは40mを超えていたそうです。

——これが一番地面に近いところですね?

そうです。広いし、何も使わないのももったいないから、現場チームが山から出して来たものです。

——このうねうねした模様は何ですか?

揺らぎポイントですね(笑)

——揺らぎポイント? これは自然にできたんですか?

全体を支えていたところだから力がかかっていて。その木の揺れを抑えていたところです。その痕跡ですね、これ。
板にすると綺麗な光沢が全面に広がっているのが楽しめます。伐採するとき、普通は山に置いてくるんですが、台風で倒れて根っこが引き出されていたから取れたんだと思います。地面に近いというか、地中だったかもしれません。

——このサイズは見たことありますか?

ないです。これなかなかないですよ、だって寝れちゃうんですよ!

——なんでここまで大きくなったのでしょう?

おそらく代々林業をやっていた林家さんがあえて残したのだと思います。伐らないでいてくれたからここにあるんです。
間伐などの作業をした痕跡もあります。この年輪の幅が広くなっている時期は、間伐して林内が明るくなったのでしょう。しばらくして林内が混んで暗くなると、年輪が詰まってきています。

ま、こんなのもあります、ということで。

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■素材データ

サイズ:幅約2400mm 、奥行き約1400mm、高さ約250mm
状態:樹皮剥き
材種:165年生スギ(東京都青梅市成木産)
伐採時期:2018年秋
重量:推定200 kg

(編集後記)
江戸時代に植えられ160年生きたスギ。飛び抜けて大きかったそうで、地元では「紀元前からある木」といわれていたそうです。台風で倒れたこの木の根株を簡易ソリで引き出した林業事業部・飯塚。新事務所のテーブルに、と話していましたが…。
この木にはさらに先っぽに6番玉というのがあり、実は今、板に製材して乾燥中。そのお話はまた後日(木田)。

この日記を書いた人

木田 正人

木田 正人

1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。

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