2023.08.01
第95回 根株の地形図
厚さ5cm程度にスライスしたスギの根株。くっきり浮かび上がる木目の模様がなんだか地形図の等高線のようです…。販売事業部・吉田に聞きました。
―面白い形ですね。どういうものですか?
スギの根株ですね。ニュースレターで前に大きな根株を紹介しましたが、それをスライスしたものがこれです。
―あの特大サイズの根株ですね?
そうです。
地上に出ていた幹に近い側はテーブルの台座に使っていただきました。今回紹介するのは、ほぼ土に埋まってたところです。
―土に埋もれてた?
そうです。土の中にあって見えなかった部分ですね。
―土の中は随分いびつな形なんですね。
そうなんですよ。
―なぜ、そうなるんですか?
そうですね、岩場だったり硬い地盤のところは根を伸ばせなかったのでへこむし、逆に地盤が柔らかなところで、どんどん根を伸ばした結果がこういう形状になったんだと思います。
―なるほど…
あるいは地上部で何か別の植物生えていて、それが障害になったということも考えられますね…
―いろいろ理由があって、それが年輪、木目に表れてるんですね。
はい、面白いですよね。木の成長過程が分かります。
―色も綺麗ですね。
サンダーをかけて仕上げたのでコントラストがくっきりしましたね。
―はっきり見えるせいか、木目が地形図の等高線に見えてきました…
確かに!
―ここの、先端に向かって木目が伸びて行く感じ、岬みたいです。
等高線と同じですね。ひょっとしたらこれ、島かもしれない(笑)
―建物や道を書き入れたくなる感じ…
ここは傾斜が急だね、ここは緩いね、いい尾根だねとか、そういう遊びができますね。
―これはまた深い話になってきました…。前はよく木目や節を見て、宇宙の話をしてましたが、それとはまた違う次元に入りましたね(笑)
根株面白いですから…。一番テンションが上がります。
■素材データ
サイズ:(左)縦:850mm、横:700mm、厚み:55mm、(右)縦:900mm×横:750mm、厚み:50mm
樹種:スギ
状態:乾燥
伐採時期:2021年12月
(取材後記)
地形図、等高線というと登山を思い浮かべる方が多いと思いますが、林業も等高線には縁が深いです。例えば苗木の植え付け。苗木は横1列、等高線に沿うようなラインで植えて行きます。伐採した木を運び出す道も、等高線を意識して、あまり急にならないルートを選んで作っています。やはり山ですから、同じなんですね。
次回は通常なら8月15日なのですが、お盆ということでお休みさせていただきます。次の配信は8月22日(火)11:00です。夏真っ盛り、暑い日が続きますが、元気に行きましょう(木田)。
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。