2023.11.28

第101回 厚みが迫力生むケヤキ天板

11月14日開催の「“森のヘンテコ素材”に出会う旅」で公開収録したケヤキの天板です。
魅力はなんといってもその大きさ(特に厚さ)、そして弧を描く形状です。
販売事業部・吉田に聞きました。


―これは何の木ですか?

ケヤキですね。

―迫力ありますね。特に厚みがすごいですね。

はい。普通は5mmくらいあれば十分なんですけど、これは120mm。長さが4800mmあるので、極力厚い方が迫力出るだろうと思って厚くしてもらったんです。

―確かに、迫力というか、重厚感があります。

使うときは修正挽きといって、もう一回挽き直して平面を出していくので、最終的には90mmくらいになるんですが、それでも厚いですよね。

―形も面白いですね。

木は根っこの方から先端に向けてだんだん細くなっていくのが普通なんですが、これは両方太いですね。
どっちが根元か分かりますか?

―いや、どっちですか?

こちらです(写真下側が根元)。

―なんで分かるんですか?

この斜めの切り口なんですよ。これはチェンソーで伐採するときの跡なんですね。

―なるほど。では、なんで先端側も太いんですか?

これ、この先が枝分かれしていくんですが、その兆候というか、隆起して膨らんでるんですね。

―そういうことなんですね。木自体も大きかったんでしょうね?

そうですね、胸の高さで直径100mm近くありました。

―製材はどうしたんですか?

大きすぎて檜原の製材所では機械に入らないということで、山梨の製材所に持って行って挽いてもらいました。

―色が結構派手ですね?

もともとケヤキは芯材が赤いのが多いんですよ。挽いてから少し時間が経ったので色が変わって見えますが、挽き立てのときはもっと優しいピンク色っぽい色だったんですよ。製材所の社長が「俺好みの色だ。天板として使うにはいいよ」と絶賛してました。

―それはいいですね。

削ればまたピンク色が出てきますよ。

―楽しみですね。どんなふうに保管してるんですか?

今日は外に出してますけど、いつもは桟積みして、日が当たらないよう気をつけて、ゆっくり天然乾燥させてます。

―なるほど。

製材所の社長さんが、地面から離した少し高いところで、風が当たらないよう気をつけておけば2年半あれば乾くんじゃないかとお話ししてました。

―というとあと1年半ですかね。

ですね。

―ところで、どこに生えてた木なんですか?

青梅市の成木というところで、埼玉との県境付近の地区です。

―檜原からは結構距離ありますけど、どんなところなんですか?

成木は檜原より歴史が古いんですよ。
檜原でスギやヒノキの本格的な植林が始まったのは70年くらい前なんですが、成木はもっと早くて江戸時代の後期には結構大規模に植林してたといいます。

―江戸時代ですか…

檜原も江戸時代から植えてるところはありましたが、数は少なかったですね。
なので、成木では大正時代、1910年ごろにはもう70年くらいの木があって出荷したといいます。

―そうなんですか。

で、その出荷の後に2回目の植林があって、今はさらに3回目も行われている。そういった場所から出てきた木です。

―なるほど…。ケヤキは植えたわけではないですよね?

そうです。これは自然に生えてきた木で、おそらく100年はいってると思います。大正時代に植林した頃生まれたんじゃないですかね。

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最後になりますが、参加してくださった方々からも質問が出ましたのでいくつか紹介します。

Q 耳部分に残っている樹皮は剥くのか?

A 樹皮は剥きます。時期は早い方がいいですが、材の乾燥が進むと剥がれやすいタイミングがくるのでそのとき。
(樹皮が残っていると虫が入りやすくなるが)このケヤキは伐り旬という秋・冬の樹木が水を吸い上げない時期に伐採したので虫が入りにくいです。もともとケヤキは虫が入りにくい木ではありますが、春に伐採していたとしたらもうすでに虫が相当入っていたかもしれないです。

Q 木に入るのはどんな虫?

A カミキリムシの仲間が多いです。

Q 製材して板にしてもいるのか?

A います。乾燥の過程で出てくることもあります。耳を使わないというのであれば、白太(樹皮に近い白い色の部分。辺材とも言う)の部分から切り落とせば虫の心配はなくなります。

■素材データ
サイズ:全長:4800mm、幅:700mm、厚み:120mm
樹種:ケヤキ
状態:未乾燥
伐採時期:2022年11月
重量:300kg

(取材後記)
成木は現在は東京都青梅市ですが、林業の世界では“西川材”といって、埼玉県の飯能市などと同じグループに属しています。
江戸時代〜明治・大正は、木材は川を筏を組んで流して出荷してました。成木は成木川という河川を流すんですが、この川は飯能の川と同じく、入間川から荒川に注ぎます。
檜原の木材は秋川〜多摩川だったので、歴史が違うのはこのへんが関係あるようです。

今号は公開収録だったと冒頭で伝えましたが、今度またやるとしたら、参加者も交えて座談会的にやってみるのも面白そうです(木田)。

この日記を書いた人

木田 正人

木田 正人

1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。

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