2024.01.16

第104回 ヤマザクラ〜優しい黄色のグラデーション!

明日1月17日は「山の神」の日。山には入らず、皆で集まって安全祈願し、そのあと新年会という“山のお正月”です。
今回はお正月らしく、縁起の良い黄色のグラデーションが特徴のヤマザクラの板を紹介します。販売事業部・吉田に聞きました。

―これは何の木ですか?

ヤマザクラです。青梅の成木地区で昨年伐り出した木で、直径40cmくらいありました。

―結構大きい木だったんですね。

そうですね。成木の現場は樹齢100年くらいのスギやヒノキが植えられてるんですが、その周りに生えている広葉樹もそれくらいなんじゃないですかね、みんな大きいです。

―そうなんですね。

さて、この板、特徴が2つあります。何だと思います?

―ひとつは色ですか? 樹齢が関係あるかわからないですけど、ずいぶん黄色が鮮やかですね。

そうです、色です。ヤマザクラは黄色いのも結構ありますが、これは今まで見た中で一番ですね!

―めちゃくちゃ光ってますね、おめでたい感じです(笑) 何か塗ってるんですか?

割れやすい木口や中心部分に割れ止め剤を塗ってます。

ー塗ってなくてもこの色なんですよね?

そうですね。もう割れてしまってるものには塗ってないですね。

―そうなんですね、すごい優しい色ですね。

もうひとつ特徴が、今も少し触れた「割れ」です。すごい割れてますよね。

―確かに。

結構曲がってる木だったので、製材したら割れるかなとは思いましたが、やはり中心の板目のところが割れました(※)。

※ 板目:年輪の形状にばらつきがあるため乾燥の過程で生じる収縮や湾曲が大きく、割れにもなりやすい。柾目:年輪幅が一定であるため、収縮等が小さく、割れも生じにくい。

―何で割れるんですか?

生きてるときに、曲がりに対抗して自分を支えるためにすごい力をかけてたんですが、伐られたときその力が逃げて、その反発が割れになるんです。

―はい…

おそらく製材してすぐ割れてると思うんです。こうなってしまったら1枚板としてはもう使えないですね。

―何か対策はあるんですか?

このまま割らせちゃって乾燥させて、その後、中心部分の板目を切り落として、残った部分で柾目の板を取るんです。そうすればはぎ合わせて、天板にも家具材にも使えます。

↓赤で囲んだ部分を残して使う

―なるほど。

前に飛騨を訪れたとき、広葉樹専門の製材所さんで、大きく割れるだろう木には、それ用の挽き方があるという話も聞きました。

―どうするんですか?

初めに丸太を半分に割るそうです。そうすると“かまぼこ”が2つできますよね。かまぼこの形にしてから製材するといいそうです。

―そうなんですね。

かまぼこの下側は割れやすい板目の部分が残るんですが、上側は「追い柾」という柾目になって割れにくいそうです。

―板にしたときの幅は半分になる感じですね。

そうなります。追い柾で取って、後に板目の部分を切り落として、はぎ合わせて天板や家具を作ったりできるというお話でした。

■素材データ
サイズ:全長:3200mm、幅:400mm、厚み:50mm
樹種:ヤマザクラ
状態:未乾燥
伐採時期:2023年11月
重量:約70kg

(取材後期)
鮮やかな黄色が新年らしいヤマザクラ。丸太のときも素敵な色合いでした(下写真)。割れたら割れたで、それなりに使えるのもいいですね。(木田)。

この日記を書いた人

木田 正人

木田 正人

1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。

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