2024.03.12

第108回 ワイドレンジ・スポルテッド・コナラ

直径50cm超のデカ・コナラ。スポルテッドという珍しい木目も期待できそうです。販売事業部・吉田に聞きました。

―これは何の木ですか?

コナラです。直径が50cm強あった木なんですが、こんなでかいの今まで見たことないですよ。

―確かに大きいです。

製材所と相談しながらですが、板目で取れるなら取りたいですね。

―木目が楽しみですね。

そうです。綺麗な木目が出そうです。
あと、辺材部分はキクイムシ(※1)が入ってナラ枯れが発生しているんですが、それがスポルテッド(※2)になってると思うので、どんな模様になってるかも楽しみですね!

※1:カシノナガキクイムシ。ナラ枯れの病原を媒介する昆虫

※2:墨で描いたような線模様の木目。鳥や虫などが原因になってできた傷から、雨水等が入って、そこから菌が繁殖してできる。

以前紹介したイタヤカエデもそうでした
「スポルテッド・メイプルの1枚板」

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という前説を経て、いざ製材してもらったのがこちら。

製材所で挽くとき、初めは幅550mmで取ろうと話していたんですが、形が面白かったので耳付きで挽いてもらいました。

―いいですね、耳付きは動きが感じられます。

こうした大きいサイズの天板は、種類の近いミズナラは結構ありますけど、コナラは珍しいですよ。

―ところで、コナラというと反りやすい、割れやすいと言われてますが。

そうですね。

―こんな大きいのも?

もちろん(笑) この後ここで天然乾燥を続けるんですが、重しを乗せて、割れ止めのボンドも塗って養生します。

―この黒い線模様も渋いです。

これがスポルテッドという木目ですね。芯にはほぼ入ってないですが、辺材の柔らかい部分は結構入ってます。

―なるほど。中まで同じようになってるんですか?

そうです。使うとき表面を削っても同じようになってますので、滅多にない幅広でかつ、両端はスポルテッドという珍しい一品になってます!


↑赤い線の内側が辺材でスポルテッドが生じている

―乾燥はどれくらいかかりますか?

時間かかりますよ。1年半くらい置いて含水率が30%になるかならないかでしょうね。そのあと乾燥炉に入れて使えるようにするか、あるいはさらに天然乾燥を続けるか…

―気の長い話ですね。

そうですね。

―それにしてもいい香りです。

サクラに近い。甘い匂いがしますね。


↑割れ止めのボンドを塗布中

■素材データ
サイズ:全長:3300mm、幅:500mm〜690mm、厚み:55mm
樹種:コナラ
状態:未乾燥
伐採時期:2023年11月
重量:150kg(乾燥した場合100kg)

(取材後記)
コナラは材にすると狂いやすいという性質がありますが、伐採しても自然に芽が出て再生、成長も速いことなどから薪や炭などの燃料、シイタケのホダ木として人の暮らしに近い、里山の木として親しまれてきました。最近は燃料としての使い道がなくなってしまったので、新たな活用の可能性がほしいところ。建築中の吉田の家では、1ヶ所だけコナラで壁を作ってるそうです(木田)。

 

 

この日記を書いた人

木田 正人

木田 正人

1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。

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