2024.12.10
第125回 スモーク・オーク
ナラ枯れ被害木のコナラを伐採、製材しました。と、そこに現れたのは炭で描いたような煙の模様! 販売事業部・吉田に聞きました。
―これは何の木ですか?
コナラです。前に紹介したナラ枯れで伐採した社有林の木です。丸太を何本か製材してもらいました。
―そうなんですね。
コナラは反りやすいので、少し厚め、50mmの板に挽いてもらったんです。今、見ているのは、節が結構あったところを、板でも良かったんですが、角にしてもらいました。
―なるほど…
ナラ枯れの原因になったムシ(※)が入った穴が無数にありますよね。
※カシノナガキクイムシ
そこから水が入ってできたシミが、炭で描いたような模様になっていて…
―面白いですね。
煙みたい。スモーク柄! スモーク・オーク(笑)
―韻を踏んでます(笑)
もう歪んできてるんですよ。
―そうですね。
広葉樹の天板もいいですけど、反ったり歪んだりで板を取れないのがいっぱいあるじゃないですか。
そういうのをうまく使って製品になったらいいなといつも思ってるんですよ。
―コナラを角材にするのはよくあることなんですか?
ナラ枯れ被害の材を塊で使ったサイドテーブルがあることは知ってますが、それぐらいですかね…
重いですから。
―これ、どれくらいですか?
相当ありますよ、250kgから300kgくらいですかね。もう、石ですね。
―石ですか(笑)
オーク、このナラの木目が好きなんですよ。荒々しさがあって、年輪の木目も真っ直ぐじゃない、揺らぎがあるじゃないですか。その雰囲気が好きなんですよ。
ここ節があって、枝分かれしてたんでしょうね。
―なるほど、そういうのもいいですね。
節があったり、ムシ喰いの穴があったり…、こういう個性的なもので、何か一点もの作れないかなと思ってます。
―ナラ枯れ、今とても多いですからね。
カシノナガキクイムシは元から日本にいるムシなんですよ。今、ナラ枯れが流行っているので、悪者のように思われがちですが、そんなことはないんです。
ムシも生存本能でコナラに入ろうとするし、コナラもヤニを出して、自分を守ろうとするし…
―お互い、生きるため。
そうなんです。自然ってそういうものなんですよね。
―ところで、使うとき、ムシはもう大丈夫なんでしょうか?
ご心配なら燻蒸処理することもできます。
■素材データ
サイズ:全長:1200mm、幅:280mm、高さ:280mm
樹種:コナラ
状態:未乾燥
伐採時期:2024年11月
重量:推定280kg前後
(取材後記)
本文にもありますが、ナラ枯れは、一概に誰が悪いとも言えないんですよね….。今、自分たちにできることは、それをどう活かしていけるか。先だっての「山開き2」でも、そういうことをちょろっと話したりしました…
早いものでもう12月。もう、ぐずぐずしてはいられません。次号(12/24)は今年を締めくくる(?)番外編、新年は1/14配信スタートとなります(木田)
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。