2023.06.27
第93回 でっかいスギからいろいろ取れたよ!
この冬に伐採した、根元付近の直径1m、樹齢130年の大きなスギが製材所から戻ってきました。4mの丸太を3本持ち込み、耳付き板はじめ、天板、板などいろいろな形に製材してもらってます(下の写真で赤で囲った範囲+板70枚弱など)。
販売事業部・吉田に聞きました。
―結構大きな木だったんですよね?
胸高直径で90cmくらいありました。樹齢は130年くらいあったかと思います。
―どんな山なんですか?
民家の裏山で、他はそれほど大きな木はなかったですね。いくつか地番が分かれていたので、その境の木だったんじゃないでしょうか?
※山も住宅地と同様に地番があり、地番ごとに所有者が違うこともある。境界の目印として、他の木を伐採するときも、その1列だけ残すことがある。そうすると、遠目には境界に1本、線を引いたように見える。
(伐採は林業事業部・城定が担当。伐った木を運び出す関係で、斜面上方に向け倒します。
手順としては、初めに木にハシゴをかけて登り、高さ6m付近にロープをかける。次いでチェンソーで伐る。最後にかけたロープを上方にある重機のウインチで引いて伐倒。
倒した木は長さ4mに玉切りし、ウインチで引き上げました)
※伐採シーンの動画もございますので、ご興味のある方はチェックしてみてください…
伐採1:https://youtu.be/nhyuvPLSbQM
伐採2:https://youtu.be/I_Qw3UCZ1rE
―伐採後は?
丸太の状態で5ヶ月くらい置いて乾燥させたあと、製材所に持ち込みました。
―どういう製材をしてもらおうと考えたんですか?
元玉は表面から見て、おそらく節が出ないだろう、2番玉〜3番玉は結構大きい節が出ていたのですが、それはそれで面白い節の材が取れるだろうなと思いました。とにかく大きい木でしたし、いろいろ挽いてもらおうと考えました。
―元玉はどのように挽いてもらったのでしょう?
無節の造作に使える板が取れそうだったので、厚みを変えて、それ中心に挽いてもらいました。80枚くらいあります。あとは幅70cm、厚み65mmの天板を1枚。
ー結構、量が取れたように思いますが、丸太自体の大きさは?
丸太の大きさは体積で表すんですが、計算すると約2.3m3でした。
―製材品はどれくらいになるのですか?
こちらは板、天板合わせて約1.7m3でしたので、歩留まり(※)約74%。
※丸太の体積に対する加工(製材)後の製品の体積の割合。木の形状や加工の度合いによる。
↑左が2番玉から挽いた耳付き板。右が元玉から挽いた天板
ー2番玉以降は?
耳付き板ですね。
―耳付き、いいですね…
大きい節がチャームポイントですね。ここを大きく使った板にしたいなと思い挽いてもらったものです。
―なるほど。サイズはどれくらいなんですか?
厚み50mmか40mmで取ってます。で、幅は65cmくらいで多少まちまちなんですが、多数ありますよ。
幅は使うときに必要なサイズにカットすることができるので、例えば、階段の材料とか、何かの棚に使うとかいいんじゃないかなと…
―ちょっとマニアックな話かもしれないです。今回、いろんな形で製材してもらってますが、製材所ではどういうオーダーをするんですか?
何を取りたいか伝えるんです。例えば、厚み25mm、幅175mmを取りたいと伝えれば、時間と歩留まり考えて一番効率いい形で挽いてくれるんです。
で、要所要所で違うサイズを取ってみたり、芯の部分どうするかなど相談しながらやってます。
枚数は言わないですね、取れるだけ。仕様が決まって必要な枚数があれば伝えます。
■素材データ(耳付き板)
サイズ:幅:650mm〜700mm、厚み:40mm〜50mm、全長:4000mm
樹種:スギ
状態:製材、未乾燥
伐採時期:2023年1月
(取材後記)
今回ピックアップした耳付き板。耳があることで、形状的にもかっこいいと個人的に思ってますが、捨てられることもある耳を使うことで、わずかながらかもしれないですが、無駄を出さないことにもつながってるのかなと…(木田)
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。