2023.12.26

第103回 カジュアルに木目を楽しむ!

一見、綺麗な天板なんですが…、実は非常に薄い代物。軽くて1人でも楽に持てる板なんですが、幅はそこそこ広くて、木目もしっかり。
一体どこから出てきたんでしょう? そしてどう使える? 販売事業部・吉田に聞きました。

―これはどういったものでしょう?

何でしょう…笑

―板ですよね?

確かに、板です。でも、横から見てください、非常に薄いですね…

―どのくらいですか?

7mm前後。


―どんな木だったんでしょう?

青梅の沢井という地域で伐採された樹齢120年のスギです。

―120年というとけっこう古い木ですね。

檜原の木が樹齢70年くらいなので、その50年も前に植えた木です。
直径も80cmを超える大きい木でした。

ー製材はどうしたんですか?

それくらいの大きさは檜原の製材所では機械に入らないので、木挽き職人さんに挽いてもらって、中心付近で厚い板を取りました。

―はい…

それ以外は製材所で挽いてもらって板を4枚取りましたが、これはその中の1枚を出荷するときに修正挽きでカットした薄い部分なんです。

※上の写真の赤で囲ったところで板を4枚取りました。そのうち1枚を出荷するときに修正挽きして切り落とされたのが、今回紹介する薄い板。ちなみに中心の墨付けされた部分が木挽き職人さんが挽いたところ。

―修正挽きというと?

板の微妙な歪みを取るために修正することです。
丸太を板の形に製材してから乾燥させるのですが、その過程で出てきた反りや捻れを、製品として出す前に、削って落として修正するんです。これはそのとき出てきた代物で、立ち会ったうちのスタッフが何かに使えるかもと持ち帰ったものなんです。

―通常はどうなるんですか?

製材所で破棄ですね。薪にはなりますが、薄すぎて薪としての機能もあまりないというものです。

―色、綺麗ですね。

スギは芯が黒いものが多いですけど、水分が抜けてることもあって、ピンク色が中から出てきましたね。

―どんな使い方がありそうでしょう?

そうですね…、横にしてみるとか…?

―なるほど。横にすると光の当たり方が変わりますね。木目の模様の見え方が変わってきました。

変わりますね。

―横に見るといいですね。なんか広い空間を感じます。

川の流れのような感じもします。

―そうですね、何か流れを感じますね。額に入れて飾るといいかも。

確かに。アートとして、フレームに入れて飾って木目を愛でるのはどうでしょう!

―いいですね。

カジュアルに、気軽に楽しめそうですね!

■素材データ
サイズ:全長:1900mm、幅:50mm〜60mm、厚み:約7mm
樹種:スギ
状態:乾燥
伐採時期:2020年12月
重量:約1kg

(取材後記)
本年最後のニュースレターです。価値のないとされるものに、新たな価値を見出す〜ニュースレターらしい一品が年度末の締めになりました。
同じ木から板と角材を取ってますが、その記事はこちらです。

板:「製材機に入らない! 木挽き職人が切り出したスギの1枚板」 (2021年10月19日)
角材:「60cm角! ほぼ東京最大級のスギ角材 」(2021年10月26日)

新年は1月16日配信号からとなります。皆さま、良いお年をお迎えください(木田)。

この日記を書いた人

木田 正人

木田 正人

1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。

この著者の日記はこちら