2024.06.18

第115回 ワイルド感が際立つヒノキのタイコ材

丸太の2面だけを切り落としたタイコ落とし。半分だけ製材、半分丸太を残したことでワイルド感が際立っています。長さ4mを超え、幅も広いところでは45cmを超えるヒノキのタイコ材。見ただけで重みも感じる迫力です。販売事業部・吉田に聞きました。

―これは何でしょう?

ヒノキです。青梅の現場から出してきたものです。

―面白い形ですね?

こういうのをタイコというんですよ。


―タイコ?

断面が太鼓に似てるからということで、そう呼ばれてます。

―そうなんですね。半分、製材してない丸太部分が残ってることで、ワイルドさが逆に際立つ感じです。

確かに、そう感じますね。

―なんでタイコにしたんですか?

この木、曲がってるじゃないですか?

―はい。

曲がってる丸太を角材に製材すると、どうしても幅が狭くなって、小さくなってしまうんです。
太い木だったので、それを活かしたいと思ったんです。

―なるほど。

ちなみに木の背と腹は分かりますか?

―いや、分からないです。

曲がってへこんでる方が腹。伸びてる方が背となります。
山の斜面に生えてるときで言うと、山側が腹、谷側が背になります。

―と言うと、、

木は谷側に全体が傾いていきそうになるんですが、そうならないよう、日光を求めてグンと背を伸ばすんです。

―なるほど、生きるために頑張った結果なんですね。

そうです、そうです。

―木目が面白いですね。

製材するときは木目が真っ直ぐ途切れないで続くよう、腹を上にするんですよ(写真左側が腹)。

―でもこれは?

途切れてます(笑)
芯が木の中心からずれてしまってるせいで、そこが節のようになって木目が円を描く感じになって、下から続いてきた木目が途切れてるんですね。でもこれはこれで面白いなと…


↑普通は中心にある芯が端(写真では上)にずれたため、木目に変化が出ている

―なるほど。

梁に使ったら迫力が出るように思いました。
あとは、ベンチにしてもいいかもしれないですね。座ってみましょうか?

―いいですね、座りやすいです。

今、土台含めて高さ38cm。ちょうどいいですね。

■素材データ
サイズ:全長:4200mm、幅:310mm〜480mm、厚み:290mm
樹種:ヒノキ
状態:未乾燥
伐採時期:2023年11月
重量:150kg

(取材後記)
半分だけ製材する、半分だけ加工する、半分だけ色を塗る…。半分だけ〇〇することで、その差が際立って面白いです。タイコ材が半分の魅力に気付かせてくれました。そもそも、太鼓の形に似てるかはともかくとして(木田)

この日記を書いた人

木田 正人

木田 正人

1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。

この著者の日記はこちら