2024.07.16
第117回 スーパーツリー・タラノキは美味しくて、薬にもなり、材も使える
季節外れとなってしまいましたが、今回紹介するのは、春の「山菜の王様・タラの芽」で有名なタラノキです。山では割と見かける木ですが、食べて美味しいほかにも、じつは薬にもなるなどあまり知られてないことも多く…。販売事業部・吉田に聞きました。
―これは何の木ですか?
タラノキです。ニュースレター初登場!
―結構大きくなるんですね。
あまり大きいイメージないですけど、6mくらいにはなるんですよ。
―なるほど。どこに生えてたんですか?
事務所の奥。15〜6年前に日照権の関係で伐採されて、その後、そのまま放置されていた森があるんですが、そこです。
3年前にチェンソーズで買って、社有林の一部になってるんですが、基本的には樹齢15年くらいの落葉広葉樹が生えていて、大きい木はないし、今の林業で考えると資産価値がほとんどないとされる山なんですよ。
―そうなんですね。
外から見るとわからないですけど、中はやぶになっているので、ちゃんと光が入るよう樹種を選んで間引く作業をしているところです。
―どんな樹種を残すんですか?
ヤマザクラやクリ、ホオなどの高木種です。木材としてもよく使われる樹種ですね。
―なるほど。
タラノキも材として利用できるんですが、今回は周りの木との兼ね合いなどもあって除伐しました。
―タラノキはそもそもどんな木なんですか?
皆伐した跡地などに真っ先に生えるパイオニア樹種で、太陽の光を好んで初めの2〜3年で3mくらいになる木なんです。ただ、周りの木が育って光が当たらなくなると枯れてしまう、そんな木です。
―どう利用されているんですか?
まずは山菜としてですね。高タンパク質で、“山菜の王様”と呼ばれるらしいです。
―タンパク質とは意外な感じですね。
枝豆もタンパク質が多いですね。栄養豊富、スーパーフードみたいなものですね。
―だからみんな探して山の中に取りに行くんですね。
僕も入社して15年、毎年4月はタラの芽を探していろんなところに行ってますけど、場所が毎年のように変わるんですよ。周りの木が大きくなれば枯れていくんで、常に新しいスポットを探さないといけない(笑)
―それは大変。
薬としても使われていたらしいので、そういう意味でも山の暮らしに密接な木だったんですよね。
―トゲがやはり特徴だと思いますが、何のためにあるんでしょう?
身を守るためじゃないですか。パイオニア種なので周りに植物は自分だけという状態が多いと思うので、動物などに食べられないようにしてるんじゃないでしょうか。
―木材としてはどうなんですか?
材質は柔らかいそうで、下駄を作ったりするそうです。
―軽いんでしょうね、他に何に使えそうですか?
棍棒(こんぼう)でしょう。
―ですよね、痛そう。持ち手だけ樹皮剥いて…(笑)
あとは床柱ですかね。先端が二股なのも面白いですよ。
■素材データ
サイズ:全長:2350mm、直径:75mm
樹種:タラノキ
状態:未乾燥
伐採時期:2024年6月
重量:5kg
(取材後記)
山の暮らしと関わりが密接だった木ということで、もしや民話にもよく登場する“鬼の金棒”に関係あるのかと思い検索してみましたが、どうもそういう話は出てなくて、その代わり何と売っていました。節分のコスプレ用だそうです。いかがでしょう?(木田)
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。