2023.09.05

第97回 今の時代だからこそ! 大きなコナラから板を取った

かつて炭作りが盛んだった頃の檜原村では、まだ木が若いうちに伐採していたので、今ほど大きなコナラはなかったといいます。この時代だからこその、大きく育ったコナラを板にしました…。
販売事業部・吉田に聞きます。

―これは何の木ですか?

コナラです。社有林の作業道のヘアピンを手直しした時に伐った木なんです。

―あのあたりはコナラが多いですね。

はい、何本か伐ったんですが、その中に1本、直径が50cmを超えるような大きいのがあって、幹が割と真っ直ぐだったので、これは製材してもらおうと…

―普通はあまり製材しないですか?

そうですね。コナラは比較的反りやすいので、製材して板を取ることはあまりないですね。

―なるほど。では珍しい?

はい…

―普通はどう使うことが多いんですか?

薪と炭ですね。この時伐った木も、薪にしたりしてます。

―そうなんですか…。でもこの木は割と真っ直ぐだったので…

コナラは幹も曲がってるのが多いですが、この木は根元から3m以上ほぼ真っ直ぐだったんです。なので、力のかかり方に偏りが少ないので、反りも小さく、板に使えるかなと思いました。

―実際、どうですか?

多少は反ってますが、そんなひどくないです。

―製材してどれくらい経つんですか?

伐採が2019年で、その後すぐ製材したので、3年以上、4年近く経ってますね。乾燥場に置いて天然乾燥させてました。

―どんなふうに置いてたんですか?

割れ止めのボンドを塗って、かすがいを打って…、それから板の間に挟む桟積みの桟木も多めにして、押さえるポイントを多くしました。
あとは全体の上に重しを乗せて、極力反らないように養生してました。


板が重ならないよう挟むのが桟木。木口に打って割れを防止するかすがい(別の板の保管)

―そこまでやるとあまり反らないですか?。

ですね。もともとが真っ直ぐだったこともありますし…

―4年置いたということは十分乾燥してますか?

はい、もう十分使える状態になってます。反って出っ張ってるところを削って、もう少し薄くなりますが、そうやって平面出して使います。


コナラの色合い、木目はこんな感じ

―どんなふうに使えそうですか?

床板なんかいいかもしれないですね。
木目は広めで、落ち着いてますし、色も白基調ですけど、芯材は黄色っぽい濃い色をしていて渋いですよ。

―いいですね。

今、檜原は大きいコナラが増えきてるので、いろいろ考えて使ってみると面白いと思うんです。

―というと…

檜原では昔、炭作りが盛んだった頃は、20年から30年くらいで伐って炭にしていたそうなので、今のような樹齢50年、60年もするような大きな木はなかったと思うんです。
大きく育ったコナラを板にして使っていくというのは、今の時代しかできないことなんですよ。


樹齢50年〜60年のコナラ(中央付近の4本)

■素材データ
サイズ:長さ:1400mm、幅:220mm〜450mm、厚み:39mm
樹種:コナラ
状態:樹皮剥き、乾燥
伐採時期:2019年秋
重量:20kg前後

※ 他に長さ2100mmのサイズもあります。枚数は各8枚づつ。

(取材後記)
4年かけて十分乾燥したという板を撮影のために運びました。と、これが非常に重い! 20kg近くあるそうで、聞くと針葉樹(スギ、ヒノキ)の2倍とのこと。本質からくる重厚感も魅力です(木田)。

この日記を書いた人

木田 正人

木田 正人

1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。

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