2022.08.30
第73回 ”端材”をなんとかする話
建築材として出荷する際、出てしまったいわゆる“端材”。通常の用途はあまりなさそうなんですが、なんとか価値を見つけてやりたい!
マテリアル販売事業部・吉田に聞きました。
―これはどういうものですか?
木造建築の資材で、平角というものです。
※平角:断面が長方形の角材
―どういうところに使うものですか?
屋根を支える梁や桁として使うことが多いですね。
これはその端材なんです。
―端材…
そうなんです。
―結構ありますね…
結構あります。57個。
―どうしたんですか?
梁材はたいていの場合、3mか4mで長さが決まってるものなんです。僕たちもそのサイズで用意します。
―はい…
使うときは、3mの材は3mのところで使うし、4mの材は4mのところで使うのが普通なんです…
―そうですよね…
ええ。ただ、このときの案件は3mが多かったんです。
―それで…
材料が間に合わなくて、在庫の4m材を3mに切って使ったんです。
―そういうことなんですね。
出しちゃいけないものなんですよね…
―なるほど。
多少は出ますよ。でも、57個はちょっと多いですね…
―1m の平角は、何か用途あるんですか?
いや、あまりないかと思います。
1m材ということであれば建築で“火打梁”として使うこともあるんでしょうが、普通は角材使うので…
※火打梁:建物を補強する目的で四角に斜めに打ち込まれる部材。強度を保つため断面が正方形の角材を使う
―なるほど、なんとかしなきゃですね…
そうなんです。非常にもったいない話で、このままだとこの子たちは無駄になってしまう。
―どう使えそうですか?
いくつか重ねるのはどうでしょう? サイズがさまざまなこともあって、面白いものになって行くのかなと思うんですよ。
―確かに、そうかもしれないですね。
ベンチとかテーブルに使えるんじゃないかと思います。こういうユニットをいっぱい作って並べるとか…
―これは檜原の木ですか?
そう。全部スギですよ。
―製材はいつごろだったんですか?
最近製材して乾燥機に入れたのもあるし、天然乾燥で1年くらい経ってるものもある。いろいろありです。
■素材データ
サイズ:全長:960mm、幅:240mm、厚み:105mm〜120mm
状態:樹皮剥き、乾燥
樹種:スギ
重量:3kg前後
(取材後記)
よろしかったら1枚目の写真をもう一度ご覧ください。淋しい、というか地味ですよね〜。僕も吉田もそう感じてました。ですが、後半にあるように重ねてみると印象がだいぶ変わります。
「一見価値がないと思ったものにも、実は価値があるんだ。価値を見出して行くんだ」ということを、授業で子どもたちに伝えたいと、最近会った小学校の先生が話していたのを思い出しました(木田)。
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。