2024.02.27

第107回 ゴワゴワの極み〜アラカシの樹皮〜

樹木の一番外側にあって、樹木の見た目の印象を決定づける樹皮。ゴワゴワしていたり、ツルツルしていたり…。今回紹介するのは分厚く硬いアラカシの樹皮。販売事業部・吉田に聞きました。

―これは何ですか?

これはカシの種類でアラカシという木の、樹皮なんです。

―これ全部が樹皮なんですか?

そうです。

―ずいぶん分厚くてゴワゴワしてますね。

そうなんです、樹皮は年とともに厚く、硬くなって行くんですよ。そう考えると、これは結構古い木ですね。

―なるほど。

若い木はつるんとしてるんですよ。コナラなんかも樹皮のゴワゴワがないので、これ本当にコナラ? ってなりますよね。

―確かに。若い木は種類が分かりづらいですね。

幼樹と成木したときの違いで、針葉樹はそんなに差がないですが、広葉樹は結構違います。なんか、人間と似てます。

―ところで何に使いますか?

ちょっと加工したらお皿か、何か小物を乗せる台になるんじゃないですか?

―いいですね。

高級なガストロノミーで出てきそう。

―確かに。

裏側は前回のシラカシと同じ網目模様です。カシ類の特徴ですね。なんか可愛くないですか?

―これはボロボロにならないですか?

そうなる部分もあるかもしれないですが、硬いから結構大丈夫そうですよ。

―樹皮といえば虫が入るという問題がありましたが、どうでしょう?

これは樹皮だけなので虫は入らないですね。丸太の状態だと樹皮の内側に形成層という養分を通す部分があって、そこに虫が入るんですが、もう形成層がないですから。

―確かに。このまま使えるのは結構重要なポイントですね。

そうなんです。樹皮の新しい使い方にもなってます。

―いい感じの色ですね。

割れ止め剤を塗ってるんです。本来はもう少し白いですが、濃くなってますね。使うときにオイルフィニッシュしたらこういう色になりますよ。

■素材データ
サイズ:全長100mm〜600mm、幅:60mm〜、厚み:20mm弱
樹種:アラカシ
状態:乾燥
重量:〜1kg

(取材後記)
樹種によっては屋根の材料に、和紙の原料に、あるいは薬にもなる樹皮。ワインのコルク栓もコルクガシという木の樹皮からできています。樹皮って実は、暮らしのすぐそばにあったんですんね。それはそうと、美味しそうに見えませんか? ビーフジャーキーみたい (木田)

この日記を書いた人

木田 正人

木田 正人

1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。

この著者の日記はこちら