2023.03.14
第86回 ぼこぼこ感満載、飴色仕上げのスギ
今年の1回目で紹介した、芯が朽ちて内部がうろになったスギ。今回登場するのは、その一部をカットして、樹皮を剥いたものです。通常は水圧で剥くのですが、これは手作業オンリーで…
販売事業部・吉田に聞きました。
―これは前に紹介した芯が朽ちたスギですね?
そうです。その一部の樹皮を剥いてみたんです。
―ぼこぼこした感じとか、色とか、いい雰囲気が出てますね。
そうなんです。いつものように水圧で剥くと、ツルツルで、真っ白になるんですよ。
―はい…
それはそれで綺麗なんですが、このぼこぼこ感を残したくて、粗皮だけ剥いてもらったんです。
―なるほど。
見てください。小惑星がいっぱい 笑
―すごいですね。
枝だったり、コブみたいになって膨らんでたところなんですよ。そこを中心に渦巻いてる!
―色もいいですね。
飴色…
―これは水圧じゃないとすると、全部手作業ですか?
そうです。手作業で剥くことで、この質感が浮き出て、独特の表情が見えるようになったんです。
―樹皮の上からもこういう表情は分かったんですか?
ぼこぼこだったから、おもしろいのが出そうだなとは思ってました。それで、ツルツルにして欲しくないということを伝えたんです。
本当は弱めの水圧で剥いてもらおうかと思いましたが、手作業で剥いてくれました…。時間がかかったと思います。
―おかげでいいものが出来ましたね。
ええ、木の荒々しい雰囲気が残せます。
―ここ、何か穴が開いてます。
そうなんです。ムササビか何か動物の巣だったのかもしれないですね。
―はい。
毛が付いてますよ! 巣ですね。
―そこから雨水が入って芯が腐ったんでしょうか?
巣が原因だったのか、腐ったから巣を作ったのか…。どっちが先か…
―普通はチップにするか、燃やすしかない木なんですよね?
そうですね。何とか活かしたいですね。
■素材データ
サイズ:全長:1600mm、高さ:450mm、穴の直径:360mm
樹種:スギ
状態:樹皮剥き(粗皮のみ)、未乾燥
伐採時期:2022年10月
重量:40kg
(取材後記)
樹皮剥きを担当したのは、村のシルバー世代のおじさん。他の作業もしながらですが、なんと1日以上かかったといいます。でもそのおかげで、ちょっと宇宙を感じる(?)素晴らしい「作品」が出来上がりました(木田)。
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。