2024.05.21
第113回 縄文時代から愛された樹木〜クリ〜
腐りにくい性質を活かして建物の土台などに使われるクリ。見た目はボロボロに朽ちていましたが、製材してみると…。販売事業部・吉田に聞きました。
―この板は何の木なんですか?
これはクリですね。八王子のある施設の裏山整備の現場で伐って出してきたものです。
立ち枯れしてたんですよ。
―立ち枯れですか?
そうです。その後、山梨の製材所へ持って行って挽いてもらいました。
―枯れ木を製材したんですか?
はい。辺材は完全に朽ちてましたが、芯は平気でしたので。
―なるほど、確かに辺材はボロボロ取れてしまいますが、芯はしっかりしてますね。
そうなんです、クリ材はムシに強く腐りにくいんですよ。
※タンニンが多く含まれるので虫に強く腐りにくい
丸太で残ってるのもあるので見てみます。
―こっちはボロボロですね。
ですよね、外側は水分が多いので腐ってしまうんですけど、芯は腐らないですね。
―他の樹種は芯でも腐リますよね?
そうですね、ナラなんか腐りますよね。
クリは腐りにくい特徴を活かして、昔から家の土台に使われたりしてきてるんです。縄文の建物でも使われてたといいますね。
―なるほど。
檜原村の最奥に藤倉という地区があるんですが、そこの山の上に縄文遺跡(※)があるんですが、おそらくそこでも使っていたんじゃないですかね。あの一帯、クリの木が多いんですよ。
※9000年前の縄文遺跡とされる中ノ平遺跡。東京都で一番標高が高い遺跡でもある
―この板はどんなふうに使えそうですか?
木目がすごく綺麗なので、それを活かしたいですね。ウロもあるので、それも特徴です。
―色は結構白っぽいんですね。反りやすいとかはあるんですか?
比較的素直な木ですよ。
■素材データ
サイズ:全長:3100mm、幅:200mm〜280mm、厚み:27mm
樹種:クリ
状態:未乾燥
伐採時期:2024年2月
重量:15kg
(取材後記)
世界文化遺産に指定されている国内最大規模の縄文遺跡「三内丸山」(青森県)からもクリ材は多く出土しています。有名な6本柱の建造物もクリ材だったとのことで、地中に直径1mのクリの柱が残っていたそうです。
ちなみに、縄文人は食料としてもクリが大好きだったようで、それにちなんだ「そふと栗夢」がレストランの人気メニュー。美味しいですもんねーーー僕の故郷の話でした 笑(木田)
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。