2021.04.06
第12回 木の生命感をダイナミックに表現〜枝付き丸太
木の生命感溢れる枝付き丸太。建物や場所のシンボルになりえる、十分な貫禄をただよわせています。ただ、このかたちですから、山から出すのが一苦労だったようで…マテリアル販売事業部・吉田に聞きました。
普通は山で枝を落として、棒状の丸太のかたちで搬出して、それを市場や製材所に持って行くわけですけど、これは枝をそのまま残したものです。
—迫力ありますね。山から出すのが大変だと聞いています。
これを伐ったのは林業事業部の思か、飯塚だったかな…普通に倒せば枝が折れてしまうので、倒す場所を選んで…。で、普通はそのあと枝を落として、グラップルという重機で掴んでトラックに載せるんですが、枝が付いていて掴めない。
—どうしたんですか?
チェーンソーで枝の長さを少し切って、幹も必要な長さに切ります。そのあと幹にロープをつけて、重機で引っ張り上げて運びました。
—運ぶのも大変ですね。
トラックの荷台に直接置くと枝が折れるので、枕木を設置して、その上に載せて運びました。
—一度にたくさんは乗りませんよね。
2本ずつです。
—それから樹皮を剥くんですね?
トラックの上で水圧をかけて剥きました。そのあと金ダワシもかけて。
それを乾燥場に持って行って干すんです。10本あったのでトラックで5往復しました。
—枝付き丸太の見どころはどこでしょう?
枝の出ている幹との付け根の部分の隆起ですね。普段はあまり目にすることのない、自然の美しさ、力強さですよね。
木は葉がないと光合成できない。枝はその葉を出してる大事なパーツなわけです。枝がないと光が吸収できない。生きる源です。
—どんなふうに使えますか?
ヒノキは構造材として使うこともできますけど、主に装飾でしょうね。カフェに置いているのを見たことがあります。
他には、たとえば遊具として。しっかりとした太さの枝なら木登りもできるかもしれません。
—どれくらい乾燥させるんですか?
今あるのは天然乾燥で半年です。
■素材データ
サイズ:長さ:4000mm、直径(末口):160mm〜200mm
状態:樹皮剥き
伐採時期:2020年10月
重量:80kg
【取材後記】
この秋オープンする「檜原森のおもちゃ美術館」へ枝付き丸太を搬入しました。森をイメージするスペースに設置させるようです。乾燥に時間かかりますが、在庫(木)は社有林にまだありますよ(木田)。
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。