2024.11.01
第123回 ど迫力!カヤの1枚板
お隣・あきる野市で伐採された巨大カヤ。根元付近は直径90cmあったというので相当でかい! 今回紹介するのは、その根元を含む元玉を挽いて取った天板です。販売事業部・吉田に聞きました。若干、マニア向けとなっております〜(笑)
―これは何ですか?
カヤです。3本あった丸太のうち、元玉と呼ばれる、一番根本に近い部分を製材して取った天板です。
―でかいですね。
長さ4.2m。幅も60cmあります。この辺りでは見ないサイズ感ですよ!
―迫力ありますね。それにしても匂いが刺激的! 前に見た角材というか、塊はほとんど匂いを感じなかったですが…
製材した面が角材より広いので、それだけ匂いが出やすいんですよ。
これ、製材するとき、結構工夫したんですよ。
―というと…
木には「背」と「腹」があるじゃないですか…
―何でしょう(笑)?
斜面に生えた木はそのまま斜めに伸びるんじゃなくて、根元から上に向けて曲がって育つんです。そうなったときの、谷側で出っ張った方を「背」、山側のへこんだ方を「腹」と言います。
この木は芯の入り方が変わっていて、元は腹に寄った方にあるんですが、そこから背に向けて斜めに伸びてるんですね。
―というと、
そうすると、どういうことが起こるかというと、板を取ろうとすると芯が出てきちゃうんです。芯が出てしまうと木目の通った1枚板が取れないという話になるんです…
そこで、芯を超えた側腹で1枚板を取ろうという作戦。
今見てるのは背の方で取った板です。アテだったので、木目がうねうねしてますね。あみあみ模様というか…
―いい感じ、面白いですね。ところで、アテというのは?
傾いたり曲がって育った木が、自分が倒れないよう真っ直ぐになろうとして、伸ばす力がかかった部分のことなんです。加工で切ったり乾燥させる過程で反ったり変形しやすかったりもします。
―ということは、使いにくいということですか?
柱など建築の構造材としては使いにくいと言いますね。ただ、節や木目が独特の表情を見せるのでドアなど造作用には好まれるようです。
ちなみに針葉樹と広葉樹ではアテ材の向きが逆になるんですよ。
―向きが逆というと?
針葉樹は谷側に傾いた場合、それに対抗して谷側が頑張って上に伸びようとするんです。極端にいうと山側に曲がるくらい。そうすると力がかかった谷側がアテ材になるんです。このカヤがそうですね。
広葉樹は逆で、山側が頑張って自分を支えるんです。だから山側がアテ材となります。
―面白い!
アテの部分は硬さも格別なんですよ。伐採するときも、チェンソーの刃が跳ね返されそうなくらい!
―刃が切れないという訳ではない?
ま、いろいろですね(笑) でも、すごい硬いんですよ。
―この突起もいいですね。
腹側にこういう枝のように隆起した部分がいくつかあるんですよ…。火焔型土器みたいですね。
―確かに。うまく活かせるといいですね。それから、厚さも結構ありますね。
厚み60mmです。多少、狂うかもしれないので、ちょっと厚めに取りました。50mmの天板材で使えるんじゃないかと思ってます。
■素材データ
サイズ:全長:4200mm、幅600mm、厚み60mm
樹種::カヤ
状態:未乾燥
伐採時期:
重量:120kg
(取材後記)
夏から続いた“カヤ三部作”はこれにて終了。気になるという方はこちらを→
「巨大カヤと300年(?!)スギ」
「甘そう! バニラクリームの塊(のような)カヤ角材」
いや、いや、自分は生で見たいんだという方は→実は11月13日にチャンスがあります!
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東京チェンソーズの森を歩き、このニュースレターで紹介しているような“ヘンテコ素材”を見て、そして小杉湯・平松祐介さんと弊社・吉田とのトークセッションも。
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この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。