2021.04.13
第13回 渋色! クリの耳付き1枚板登場
これまで伐って出すことがなかったというクリ。在庫として持つのはこれが初めてです。マテリアル販売事業部・吉田に聞きました。
重い、重いですね。久しぶり、4mでこれだけ重いと思ったのは。
——どこの木ですか?
檜原・小沢の伐採現場です。一昨年くらいから毎年少しずつ伐っているんですけど、これは昨年11月から1月にかけて伐ったもの。
今年の現場は広葉樹が多く、尾根の方にクリやイタヤカエデ、コナラ、ホオの木、シデ類なんかがありました。
広葉樹なんで曲がっていますけど、比較的素直な木が多かったですよ。
——少し前に出してたやつですね。
そうですね。ほかに2mに造材したものもあります。
——耳付きいいですね。
皮をむくのが大変だった。製材所では樹皮がついたまま挽いて、そのあとに手で剥きました。樹木が水をあまり吸わない時期に伐ってるから、樹皮が張り付いていてなかなか剥けないし、大変でした。水を多く吸い上げる春~夏に伐った場合は、剥きやすいんですけどね。
——水圧じゃない?
ヘラとマイナスドライバーです。
——どれくらいかかるんですか?
片面30分くらい。17枚あるので、じつに2人で2日かかりました!
——クリはよく家の土台に使うと聞きました。
そうですね。腐りにくいから土に近い土台に使ってました。
—ほかの用途としては?
このあいだは水車の軸に使うというのがありました。あとは、お店のカウンターとかよさそうです。
—クリをいままで扱わなかったのは?
こういうサイズのクリを伐って出すことがなかったからですね。
—伐採は難しいですか?
重心がまっすぐ上じゃないから、全然違いますよ。けっこう傾いているから。
(そこへ製材所社長登場)
—これ、このあいだ挽いてもらったクリですよ。
いいよね、この渋色。
—クリの製材はよくあるんですか?
こんな太いのはないよね。こういうのはカウンターに使えば綺麗じゃない!
昔はこんなに太くなる前に伐っちゃった。土台に使ったりしたからな。このごろ使わなくなって、こんなに太くなったけど、山でこんな太いクリめずらしいよ。
—こういうのはどれくら乾燥させるといいですか?
1年とかだな。
—耳付きで製材するには手間かかるんですか?
これくらいの大きさなら平気だよ。
この間ヒノキの耳付き売れたよ。自分の家のカウンターに使うからと、突然、製材所にお客さんが来て。
今度積む時はひっくり返して、一番上に重いのを乗せておけば反らないよ。間に桟木(さんぎ)を多く入れてどんどん重ねるといい。
でも、少し反ってるのもおもしろいよ 笑
■素材データ
サイズ:長さ:4000mm、幅:350mm、厚み:60mm
状態:樹皮剥き
伐採時期:2020年11月〜2021年1月
重量:80kg
【取材後記】
製材所社長が開口一番いった「渋色」は赤身の薄い茶色だそうです。羽織なんかにあるそうですよ。渋いですね。そういえば弊社の事務所も土台がクリらしいです。大家さんによれば400年経ってるとか(木田)。
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。