2021.06.22
第22回 空洞サワラの根株
中心付近にぽっかり穴の開いたサワラの根株。樹勢の悪い木ではなかったのですが、各地に甚大な被害をもたらした台風19号(2019年10月)の暴風雨で倒れてしまいました。
マテリアル販売事業部・吉田に聞きます。
――どういう木なんですか?
これ、当社の社有林のサワラという木なんですが、台風19号の暴風雨で倒れてしまったんです。
――けっこう倒れたんですか?
ほかにも何本か。尾根の上の風が強く当たるところにあったコナラとモミも倒れました。
でも、いままであんなのはなかった。あの台風はほんとに風が強かったですね。
――この穴は? サワラはこうなりやすいんですか?
多いですね。
僕が聞いたのは、サワラは実生の苗木から作るんじゃなくて、挿木で増やしていたので、それがあまりよくないんじゃないかと。
――倒れる前は変な様子はなかった?
高さ25mくらいある立派なきでした。
――何年くらいの木?
社有林のほかの木と同じ70年くらいですね。
ま、中を見てください。
――地下の世界みたい。
鍾乳洞。
――ジオラマ。
そうそう、ジオラマ。
――ミニチュアの人間がクライミングしてそうですね 笑
(ひっくり返してみる)
――こっちもすごい!
そうなんですよ。
もう一回、高圧洗浄すれば、汚れが落ちて面白い世界が出てきます。
これ、下の部分をもう少し切って水平にして天板を置けば、ローテーブルにできます。
――たしかに、いいですね。台風の片付け以来、置いてあるんですよね?
そう、もう2年。乾燥ばっちしです!
■素材データ
サイズ:直径:長辺950mm、高さ:400mm弱。
状態:樹皮剥き
樹種:サワラ
伐採時期:2019年10月
重さ:25kg
(取材後記)
ガラスの天板を置けば、この空洞を毎日眺められます。最近、瞑想に興味があるのですが、何か通じるものがあるような…(木田)。
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。