2021.08.31
第31回 細くて強い木”細マッチョ材”
樹齢は同じですが、ほかに比べて細く、劣勢木と呼ばれてしまう木。間伐で伐られて使われずそのままということもありますが、じつは隠れた実力が…
マテリアル販売事業部・伏見に聞きました。
―これはどんなものですか?
ヒノキの長尺細丸太です。
間伐があまりされてこなかった山で、競争に負けた木がひょろ長く育って…樹齢はいってるけど細い。いわゆる劣勢木というやつです。
―樹齢はほかと一緒?
同じ。社有林だと70年くらい。
―あまり流通はしてないものですか?
細丸太はあまり運び出さないですね。運び出したとしても、3mや4mの長さに切って売られてます。
細い長尺は市場では見かけないのでは…
―これは長さどれくらいですか?
こっち(左)が6m。こっち(右)が8m。
―どんな特徴があるんですか?
強いです。
―強い?
曲がりなんかに強い。見栄えは細く弱々しいですけど、大きく育った木と同じ分の年輪が詰まってます。“細マッチョ”ですね 笑
―たしかに年輪が緻密ですね。どういうものに使うと良さそうですか?
野外イベントで使う装飾とか…ティピィを立てたこともありますし、ステージを組んだりも…
あと、何本か組んでベンチにもよさそう。
(立ててみる)
これくらい高さあればかなり目立ちますね。
そのかわり運搬がネック。会社の2tトラックでは無理なので、4tトラック借りないと…
―普通に育った木の先っぽでも使えるんですか?
もちろんつかえますけど、そういうのは先端で急速に細くなるんでやはり細マッチョがいいですね。全体が細く伸びてる木が。
―ここは間伐した場所ですか?
間伐はしてないですが、ときどき、こういう細マッチョを採取してます。
―何かに使ったんですか?
作業道の木組みに使ったりしましたね。
■素材データ(左のみ)
サイズ:長さ:6000mm、径:70mm(末)〜100mm(元)
樹種:ヒノキ
状態:樹皮付き
伐採時期:2021年7月
重量:40kg
(取材後記)
間伐で伐っても使うことのなかった木です。それが屋外イベントに使えたりするんですから…ある意味衝撃的でした。山にはまだまだ見逃しているものがありそうです(木田)。
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。