2021.09.14
第33回 キリの25cm角材! 軽くて持ち運びに便利
キリといえば「軽く柔軟で扱いやすい」が特徴。箪笥や下駄の材料としてよく使われますが、角材は珍しい!
マテリアル販売事業部・吉田に聞きました。
―これは何ですか?
キリの角材です。
―キリですか…
そう、ふだん僕たちが扱ってるのは針葉樹がメインなんですけど、檜原の森林の4割は広葉樹なわけです。実はいろんな広葉樹がこの村にはあるんです。
―ということは、檜原の木ですね?
檜原村の製材所で閉めたところがあって、そこから購入したものです。古い、10年以上置いてあるようなものなんですよ。
で、角材は普通は梁とか柱に使うから、ある程度長さがないといけないんですが、これはそうじゃない。
―あまりないサイズなんですね?
そうです。そもそもキリは角材にすることが珍しい。柔らかいので、建築材に使わないですし…。だから、長さが短いのかもしれないですね。
さて、私から問題です。キリといえば、なんですか?
―キリといえば…すぐでかくなる!
確かに!すぐでかくなりますね。成長が早い。
―よく下刈り現場にあって…
※下刈り:まだ若い苗木の山での草刈り。夏場、炎天下での作業。
そうですね、良い日陰になりますよね。
―そう、日陰になるから残しておいて…1年経つと、これ切ったほうがいいんじゃないってくらい大きくなってる。
で、正解はキリといえばなんですか?
「めちゃくちゃ軽い」ですよ。びっくりするくらい…
(持ち上げてみる)
―あれ、もっと軽いのかと思ったけど…でも、軽いですね。
あと、これの面白いところは、こんなふうに、もともと腐ってるようなところもあって、ウロみたいになってたりとか…ほら、穴がずいぶん深いですね。
こうして少し腐ってきてるところを研磨すると、非常に有機的な模様が出てくる。
―たしかに、木目の模様がいろいろですね…
そうですよね、針葉樹だとまっすぐ育ってるから、角材にしたときに見える木目も比較的まっすぐなんですけど、広葉樹は曲がってるから木目が面白いですね。それに、こうコブみたいのがあったりして、その木目が“宇宙の模様”みたいになって出てくるじゃないですか…
ここに惑星。こっちにも、あっちにも、というのもすごく面白いですね。
―けっこう古いという話でしたが…
そうそう、もう何年かは正確に分からないですけど、10年、20年は経ってるから、周りが埃と砂とで真っ黒な状態だったんですよ。製材所で挽いてもらって、ようやくキリだとわかりました 笑
―こういう黒っぽいところも削ると白くなりますか?
そうですね、端を切断すればこういう木が持つ本来の色が出てくるけど、逆にこのまま使うのもどうかなと。
―どう使いますか?
25cm角で比較的小さいですけど、ちょっとした腰掛けとか…
―迫力ありますね。
たしかに。やはり物量が多いからじゃないですか、角材って。存在感がありますね。
それに関係あるのか、最近、角材需要が高まってる気がしてます。
■素材データ
サイズ:長さ:1600mm、幅:250mm、高さ:250mm
樹種:キリ
状態:樹皮剥き
伐採時期:不明(推定2010年)
重量:10kg
(取材後記)
成長が早くすぐ大きくなり、葉っぱも大きいキリは下刈り現場におけるオアシスのようなものでした。ただ、1年すぎて見てみると、大きすぎて驚いたものです(木田)。
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。