2021.02.09
第4回 樹齢165年のスギ天板〜節の力強さも魅力
樹齢165年、根元直径2m超えのスギ。第2回でお伝えした台風で倒れた大木から挽いた板です。マテリアル販売事業部・吉田に聞きました。
——すごいですね。
はい。これはですね、前にご紹介した青梅の165年生のスギの6番玉。テーブルなどの天板用に挽いたものです。
——6番玉?
一番根っこに近い部分を元玉(もとだま)といって、枝を打っている※とそこには節が出なくて、一番高値で取引される部分です。その次が2番玉(伐採後に幹を丸太として一定の長さに切ることを玉切りと言い、玉切りでできた丸太を玉と呼びます。一番下から元玉、2番玉、3番玉…となります)。元玉は6mに切っていて、それ以外は4mなので…ということは、6番玉だと下から22m(なんとマンションの7~8階の高さ!)。
※枝打ち:節のない良質材を生産するために、幹に登って枝を切る作業
——それなのにこんなにでかい。
節も20cmくらいあって、もう木ですよ、ちょっとした。
——ちなみに元玉から5番玉はどこへ行ったんですか?
元玉〜5番玉までは、西の方へ嫁いで行きました。
もちろん、多摩の原木市場でも大きい材の取引はしていますが、三重とか、関西の方が需要があって、高値がつきやすいらしくて。
そもそも5番より先は運び出す予定はなかったんです。6番玉は作業道からもかなり遠くに倒れるので搬出のコストに合わないから。でも林業事業部のメンバーが2mに切って引っ張り出して来た(笑)
で、せっかくだからと挽いたのがこれ。
——もう置いて2年くらいですか?
そうですね。当初、ほんとに色も濃く、黒芯※というんですか、かなり含水率が高くてめちゃくちゃ重かった。でも、さっき測ったら30%くらいまで落ちていて…
(持ってみる)おっ、軽い!でもあと、1年くらい置いておきたいな。
※黒芯:通常は赤みがかった色をしているスギの中心部分が、黒くなっているもの。含水率が高いことが特徴。
——まさにテーブル。天板。いいですね。
その耳(食パンの耳の様に、樹皮のついていた外側の部分)の具合もね。2枚合わせてテーブルにしてもいいし、このままでもいいし。スギは素直なので、ほとんど反ってないです。
——これいくらですか?
いきなり核心(笑)
——これ絶対いいですよ。なかなか見ない。
いくらで買いますか?どこまで加工するかによりますが、単純に素材だけで考えると…
——もう大幅に反ったりしない?
しないでしょう。
——やっぱ節があるのもいいよなー。
ここは辺材(幹の外側)の部分。赤身(杉の中心部分で色が濃く、赤みがかっている部分)が出てきてない。これは幅50cm弱だから、どうですかね、勉強机でも?
——見に来る人いますか?
見せたことはあるけど、けっこう奥に積んでるので、ぱっと見せれなかったこともあって。だからこのニュースレターで世の中へ旅立って行くといいなと。
ま、でも乾燥するのに3年とか普通にかかるから、気の長い話ですね。
▪︎素材データ
サイズ:幅約2200mm、奥行約400~550mm、厚み約60mm
状態:耳付き
材種:165年生スギ(青梅市成木産)
伐採時期:2018年秋
重量:約15~30kg(個体差あり)
(取材後記)
これ欲しいです(笑)。2枚貼り合わせて机もいいし、このままカウンターなんかでも。最後におまけ。台風で倒れる1年前の写真です。林業事業部・飯塚が別件で現場付近へ出向いたとき撮ったものです(木田)。
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。