2022.06.14

第68回 ヒノキ、まるごと1本取れました

社有林で自然に倒れていた細いヒノキ。根っこから葉先まで、1本まるごと…
マテリアル販売事業部・吉田に聞きました。

―1本まるごとですね。どこの木ですか?

社有林の木です。倒れて作業道にかかっていたのを見つけて持ってきてくれました。
現場の加藤(林業事業部)から「1本まるまる取れたんですけど…」と連絡があって、「じゃ、もらいます」って 笑
で、樹皮を剥いたのがコレです。

―けっこう細いですね。

周りの木に被圧されて、うまく育たなかったんですね。いくらか曲がってますし。

―でも、社有林ということは他の木と同じくらいの60年生だったり?

いや、おそらく植林したのではなく種から自然に生えた実生の木なので、60年ではないと思います。でも、同じ山ですから、それなりに経っているかも…

―生えてた場所がよくなかったんでしょうか?

そうですね、地面が岩盤とかだったかもしれないです。

―こういう木は普通はどうするんですか?

何にもならない。多分、そこら辺に放られてしまう木でしょうね。

―作業道の土留めに使ったりはしないですか?

それに使うにも、少し細すぎですね。従来の材木という意味では、正直、何の役にも立たないかもしれない…
でも、役立たせます!

―というと、

うちだと全部、根っこから先端まで使う方法があります。
おもちゃの材料になる、コースターになる、ディフューザーにもなる。

―たしかに。そう考えるとすごいですね。これまで使えなかった木も使える。

さらにこれすごいのは、根っこから葉先まで全部ついていること。樹皮を剥くとき、葉っぱのところも残してくれたんです。

―ですね。

葉っぱはだんだん枯れてきちゃいますけど、標本みたい。1本の木を再現するみたいな。

―博物館にあるかも。これがヒノキですって。

そう、そう。

―直径何センチくらいですか?

10cmないですね。8cmくらい。

―この1本で全部コースター取るとかどうですか?

注文とともに切っていく 笑

―あるいは、コースター状に輪切りにしたものを重ねて1本の木を再現する。

ワークショップなんかに、この木を1本持って行って…おもしろいかもしれないですね。

―たしかに。

いますぐ何に使えるかは正直わからないけど、1本まるごとってなかなかないですから…

■素材データ
サイズ:全長:5500mm、直径:80mm
状態:樹皮剥き、未乾燥
樹種:ヒノキ
伐採時期:2022年6月(自然倒木)
重量:8kg

(取材後記)
最近、倒れたばかりにしてはかなり軽いです。葉っぱを付けたまま樹皮を剥くのは、実は効率的な乾燥方法なのかもしれません 笑 2人で楽に持てます(木田)。

この日記を書いた人

木田 正人

木田 正人

1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。

この著者の日記はこちら