2022.06.21
第69回 ”広葉樹の王様”ケヤキの90cm級ドデカ丸太
強靭で耐久性があり、腐りにくく、また、色味など外見も美しい…広葉樹材の最高峰といわれるケヤキ。家具にも建築材にも使われています。そんなケヤキの、直径90cmを超えるゴロンとしたデカ丸太が届きました…
マテリアル販売事業部・吉田に聞きます。
―コレ、何の木ですか?
ケヤキですね。もう立ち枯れしてたんです。だからもう、樹皮も落ちてて…
―立ち枯れしてた?
そう。さいたま市の、あるマンションの敷地に生えてたんですが…
近くに氷川神社という大きな神社がありまして、マンションが建ってるのは、その参道だったところじゃないかと…
―はい…
もともとケヤキが生えてたのを残したそうです。
―なるほど。
でも、やはり住宅街だから葉っぱが落ちるだとか、いろいろいわれたそうで、3年前に強度剪定したようなんです。
そしたら去年の夏に枯れてしまいまして…
―そうなんですね…
で、マンションのオーナーが弊社のことをどこかでお聞きになったらしく、そのまま処分じゃなくて、何か使えないですかという相談を持ちかけてくれたんです。
―マンションで使うというお話はなかったんですか?
マンションの敷地内でベンチとして使うことを提案しましたが、置くスペースがなかったんです…
だから、それは断念されて、弊社で購入するという形になりました。
―そういう経緯なんですね。いつ伐ったんですか?
今年2月です。
伐採は、弊社から独立した佐田くん(株式会社ヨキ社)に依頼しました。
―大きい木ですね。
二股部分で幅が1m超えてます。元も90cm。
―重さはわかりますか?
(計算する)約1.8m3あるんで、完全に乾いて、1トン。
―1トン! ところで、弊社で引き取ったのは元玉だけですか?
二股の上は細かったので、さすがに全部は使えないと思いまして…。購入したのは元だけです。
―この樹皮の模様はムシですか?
そうですね、立ち枯れになった時点でムシが入ったようです。樹皮の裏側部分は少し食べられてますが、中には入ってないと思います。
―表面だけということですか?
そうです。製材したら問題ないと思います。
―ケヤキといえば赤ですよね?
ええ、板に挽いたら綺麗な赤が出ると思いますよ。黄色みがかった光沢ある赤ですね。
―座面を削ればベンチにも…
もちろん。
―どれくらいで乾燥しますか?
このままの状態だったら多分、4〜5年置いて乾くのかなってところです…
製材して、たとえば天板に挽いたとして、2〜3年でしょうか…
■素材データ
サイズ:全長:2800mm、直径:900mm(元)〜1100mm(二股部分)
状態:樹皮付き、未乾燥
樹種:ケヤキ
伐採時期:2022年2月
重量:1000kg(乾燥した場合)
(取材後記)
最近、事情があって伐採した樹木を、別の形として活かしたいというお話をよく聞くようになりました。「木は2度生きる」という言葉がありますが、伐採して1度目の“生”は失われても、木材としての2度目の“生”があるということ。木の特徴をよく表しています。
本文に出てくるさいたま市大宮区の「氷川神社」。表参道は南北約2kmに及ぶそうで、ケヤキを中心とした並木が有名だそうです(木田)。
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。