2023.03.28
第87回 長〜いネジネジサワラ
埼玉県飯能市の間伐現場から届いたサワラ。形の良いスギ、ヒノキの多い現場なのですが、中にはこんなねじれたものも。現場担当者の「面白い木がありました」の一声で、檜原にやってくることに。販売事業部の吉田に聞きました。
―何の木ですか?
サワラです。
―サワラはどんな木なんですか?
ヒノキに見た目が似てるんですが、柔らかいです。なので構造材(※)としてはあまり使わないですね。耐水性があるので、桶やお櫃を作るのに使われたりしています。
(※)建物の構造を担う材料のことで、柱、梁、土台など。
―珍しいんですか?
少ないですけど、珍しいというほどではないです。檜原だと人工林(※)の1割くらい。
(※)建築用材などの木材生産を主な目的に人間が植林してできた森林。東京や埼玉ではスギ、ヒノキ、サワラといった樹種が多い。
―なんでこういう形になったんでしょう?
原因はちょっと、わからないですけど、二股になって分かれるはずが、くっついちゃったんですね。
―前(※)も同じような木がありましたね。
前に紹介したのはヒノキで2mくらいでしたが、個人の方が買われて旅立って行きました…
―それに比べてかなり長いですね。
6mあります。現場では初め8mで用意してたんですけど、それではダンプで運べないのでカットしたんですよ…。せっかくなので、なるべく長く切りました。
―こういう木は普通どうなるんですか?
普通に考えると使えない木なので、間伐で伐っても山にそのまま残してくるか、山から出してもチップにするとかですかね…
こんなのあってもしょうがないと思われるんです。
―でもそういうのを面白いと思って現場で出してくれたんですよね。
そうです。
―何に使いますか?
樹皮を剥いて、化粧柱(※)とかですかね。
サワラは柔らかいので普通は柱は取らないで、板を取ったりするんです。でも、この木は細いので、構造材じゃない形で、見せる柱として化粧柱にするといいかなと思います。
(※)目に見える仕上げがなされた柱。
―6mあるということは結構大きいところで使えますね?
2階建てくらいの吹き抜けに使えますね。店舗とか、展示会とかで活かせそうです。
■素材データ
サイズ:全長:6000mm、直径(元):220mm
状態:樹皮付き、未乾燥
樹種:サワラ
伐採時期:2022年12月
重量:100kg(乾燥して)
(取材後記)
二股に分かれて、細い幹が2本で育つより、この形状の方が強そうです。これも生きる知恵かなと(すみません、ほぼ推測です。)ちなみに樹齢は70年くらいの木です(木田)。
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。