2023.10.03
第99回 クリより栗色!? 〜クワの木〜
このゴツゴツした塊、何かというとクワなんだそうです。檜原には割と多くある木ですが、これほど大きいのは珍しいそうです。芯の濃い色も特徴的。
販売事業部・吉田に聞きました。
―この木は何ですか?
クワの木です。
―これがクワですか…。よく聞く名前ですが、実はちゃんと見たことがないんですよ。
檜原の山には多いですよ。夏には実がなって…。マルベリー。
―マルベリーですね…
ジャムにしたりしますね。子どもたちなんかは木から実を取って、そのまま食べたりしますね。
―なぜ檜原に多いんですか?
檜原はお蚕さん(養蚕)が盛んだったんですね。蚕に葉っぱを食べさせるんですよ。
―なるほど。
クワはとにかく生命力が強い。うちの庭にも生えてるんですが、どんどん生い茂って…。かなり剪定して切るんですけど、ひと夏でワーっと増えますね。
―ちなみにこれはどこに生えてた木ですか?
檜原の小岩地区のキャンプ場なんですが、崖から飛び出るような感じで、川にもたれかかるように生えてたんです。それで危ないから伐ってほしいと依頼されました。
―はい。
で、行ってみるとでかいんです。こんな太いクワは僕も見たことがなかったですね。よく見るのは直径10cmとか15cmくらいじゃないですか…。それが50cm近いんですよ。
―確かにでかいですね! 普通、クワはそんなに大きくならないんですか?
木としては大きくなるんですが、お蚕さんの飼育や実を取ったりで利用するので、普通は庭にあっても低めにカットしちゃってるんですよ。だからそんなに大きくなる木だということを知りませんでした。
―なるほど…
伐採は林業事業部の3人で行って伐ったんですが、芯が腐ってるからどうしましょうと。
その現場は重機が入れる場所じゃなかったので、持ち出すとしたら手で持って道まで運ばなきゃならないんです。それで、どうします? と…
―どうしたんですか?
売る先も何も決まってなかったんですけど、運べるよう小さく切っても何かできるだろうと、手で抱えて運び出しました。
水分がずいぶん多かったようで、かなり重かったです。とてもじゃないけど持てないということで、結構小さめに切って出しました。
―そうですよね…
それが今、半年以上天然乾燥させたら、だいぶ水分が抜けて軽くなりました。
―芯の部分が広いですね。
そうなんです、辺材はわずか。
―しかも芯の赤みがずいぶん濃いですね。焦げ茶に近いです。
すごいですね。
―チョコレートみたい!
クリより赤い、全然色が濃いですね。
―クリよりクリっぽい(笑)
確かに…
―やはりこの腐りの部分が見どころですか?
そうですね、ぜひ見ていただきたいですね。腐りが入って空いたこの穴の空き具合(笑)
水平にカットして使いたいですね。
―木材としてはどんな特徴があるんですか?
かなり固いらしいです。加工が難しいとも…
■素材データ
サイズ:直径750mm×500mm、厚み:400mm
樹種:クワ
状態:未乾燥
伐採時期:2023年2月
重量:30kg
サイズは大小様々ですが、こういう塊が大小9個あります(写真参照)
(編集後記)
途中で現れた村のベテラン。現在、樹皮剥き等でお手伝いしてくれている方ですが、こんな風変わりな竹をいただきました。建物の屋根に当たって、それより上に伸びることができなかったみたいです。伊勢海老みたい…。次回100回目です!(木田)
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。