2023.05.16

第90回 たまには“まとも”なケヤキの梁材と板を

今回紹介するのは根元の直径1mのデカ・ケヤキから製材された長さ4.8mの梁材と板。いつも根っこや枝、ツル、ツルに締められた幹など、ちょっと変わったものを中心に紹介してましたが、たまにはこういう“まとも”な材もあるんだぞと…。販売事業部・吉田に聞きました。

―立派な角材ですね。何の木ですか?

ケヤキですね。青梅・成木の現場から出してきた木です。

―大きい木だったんでしょうね?

大きかったですね、根元の直径が1mくらいあった木ですよ。

―なるほど…

で、これはその木の一部を製材してもらったものです。化粧梁(※)にいいんじゃないかと思っています。

(※)化粧梁:通常は天井内部に設置され室内から見えない梁を、デザイン上のアクセントとしてあえて隠さないで、室内から見えるようにした梁

これは芯去り材といって、芯を避けて取った部分なんですよ。

―芯を避けるというと…

割れや反りが出にくいです。それにこれは、2面が柾目(※)になってます。大径木だからこそですね。

(※)柾目:縦方向に真っ直ぐ入っている木目の模様のこと

―今、やってる作業は何ですか?

一応、用心のため、割れ防止にボンドを塗ってます。

―なるほど。ところで、どんなところで使われるんでしょう?

一般家庭というより、神社・仏閣みたいなところですかね。需要はなかなかないですけど、せっかく取れる丸太があったので…

―そうですよね…、乾燥はどれくらいかかりますか?

数年乾かす感じです。5年で行けるかな〜と。

―こちらは板に挽いたんですね?

こちらも割れ止めでボンドを塗ったので多少色が変わってますが、使うときに表面を削れば綺麗なピンク色が出てくるはずです。

―そうなんですね。

挽いてくれた製材所の社長が「俺好みの色だ」と話すくらいのいい色です 笑

―楽しみですね…。厚さもだいぶありますね。

120mmで取ってます。このままカウンターとか最高ですね。

―確かに。これも乾燥は5年とかですか?

そうですね。やはり5年くらいですかね。使えるのはだいぶ先になります…
実は挽いてる時に割れ始めたんですよ。それで、挽き手がすぐその場でカスガイを打ってくれてまして…。ですので、用心してボンドも塗って、日陰でゆっくり乾かします。

■素材データ
サイズ:(梁)全長:4800mm、幅:250mm、厚み:190mm
(板)全長:4800mm、幅:700mm、厚み:120mm
樹種:ケヤキ
状態:樹皮剥き、未乾燥
伐採時期:2022年11月
重量(推定):(梁)150kg、(板)270kg

(取材後記)
取材した場所は、弊社も加入する檜原村木材産業協同組合の天然乾燥施設。山中にポカッとひらけた場所で、製材した木材を自然の日光と風で乾かします。すごい気持ちの良い場所ですよ(木田)。

この日記を書いた人

木田 正人

木田 正人

1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。

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