2021.04.27
第15回 200年ヒノキの宇宙
節が描く模様が目を引くヒノキの1枚板。樹齢は200年を超えるとのことです。マテリアル販売事業部・吉田に聞きました。
——香りがすごいですね。
すごいですよね。この木は香りが強いですよ。
——これまで見た中で、ここまで強いのは初めて。慣れてるからか、いつもはほぼ感じない。伐ったばかりですか?
去年の11月ごろです。
——どこの木ですか?
檜原のとなり、五日市の青木平というところです。
——樹齢どのくらいなんでしょう?
200年を超えるという話です。
——200年!
200年越えてるっていってましたね。自分は元玉を見てないですけど、200年はゆうに超えてるだろうという製材所のお話です。
これは根元から20mくらい上の枝の多い部分。
——製材所で見つけたんですか?
製材所にカウンター用の材を探しているお客さんが行って、ちょうどいい材ないかなんて話をしていたときに、前に買って、丸太のまま置いてたヒノキを思い出して、あれ挽こうってなったそうです。
で、ちょうど挽き終わったときに僕が行ったんですが、めちゃくちゃ天気のいい日で、光って神々しかったです。
——たしかに輝きそう。
そうそう、太陽の光にきらきら光ってるって感じが良くて、これはやばいと。
もうじっとしていられなくて、6枚あったうちの4枚を売っていただきました。
とにかく節がすごい。これなんか飛び出てます!
——色が濃いですね。
そう、赤みが濃い。
——オイルを塗ったようにも見えます。
そうですね、節の部分は割れ防止のための塗料が塗ってありますが、仕上げる際には削ってしまうのでなくなります。節の色が濃いのは油分が強いんでしょう。
——この木目もすごいですね。はけで塗ったみたいです。
模様みたいになってますね。ほんと、そう、根株にあるような繊維の揺らぎ。根っこじゃないですけど、同じですよね。
この節のあるあたり、周りが押しつぶされて、こう、炎みたいじゃないですか。根張りの部分が光沢が出てるのと一緒。
惑星が見えて来ました。
——たしかに星みたいですね!
こういう天板の材は2mで挽くことが多いので、3mはめずらしいですよ。
——このボコボコがいいですよね。
節のところがボコボコするんですね。サイズが大きいからボコボコ感が、通常以上に出る。その隆起を生かして、カウンターやテーブルに使えるといいですね。
——それにしてもこれくらいの木がまだ残ってるんですね?
そういうことですね。社有林にも100年越えた木がありますし…やっぱりそういう山あるんですよ。
——乾燥はどれくらいかかりますか?
挽いてまだ数日なので含水率が50%でした。1年置けば20%くらいまで下がると思います。
あと2mのも2枚買おうかなって思っているので、在庫は3mが4枚と2mが2枚になる予定です。
■素材サイズ:長さ:3000mm、幅:(末口)500〜550mm、(元)600〜650mm、厚み:60mm
状態:樹皮剥き
伐採時期:2020年11月
重量:50kg
【取材後記】
見れば見るほど、節のひとつひとつが銀河のように見えてきます。ほんとに宇宙かも、と思える板でした(木田)。
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。