2021.11.16

第42回 ”選ばれた木”から挽き出したヒノキの大黒柱

ほとんど節のないヒノキの柱材。最後まで残す木として選ばれ、特別に枝打ちをされた1本であるようです。
マテリアル販売事業部・吉田に聞きました。

―何の木ですか?

社有林から出したヒノキで、ほかの木と同時に植栽された木ですね。70年生です。

―大黒柱にしたいとのことですが、どうしてですか?

節がほとんどないんです。

―枝打ちしたんでしょうか?

社有林は7年前に購入したんですが、ほとんど枝打ちされていませんでした…
でも、おそらくですが、この木は何か理由があって枝打ちしたんだと思います。

―特別にということですか?

面白いんですけど、何本かそういうのがあるんです。太い木で…
山の仕事の先輩に聞いたことがあるんですが、かつて、枝打ちは全部の木でやるものではなかったといいます。

―どういうことですか?

断言はできないですが、目利きというか、途中で間伐せず、最後まで残すと見込んだ木だけを選んで枝打ちするという考え方があったようです。

―すごいですね。

スギは自然に枯れた枝が落ちやすいので、枝打ちしなくても節ない材が取れることが多いのですが、ヒノキは枝が自然に枯れて落ちることが少ないので枝打ちしないと節が出やすいんです。
でもこれは枝打ちしてたので、大黒柱として見せる柱に使ってもいいかなと思いました。

―ここに26と記入してありますが直径ですか?

そうです。直径が26cm。
ある程度の太さの角材が取れましたので、それも理由です。

―なるほど…

普通の柱は12cm角か10.5cm角なんですけど、これならもっと太く使えます。
大黒柱にするということであれば、このあと乾燥課程で歪んだところを真っすぐに修正挽きして、それから工務店さんか大工さんにお渡しして、18cm角か、16.5cm角で使えます。

―長さもありますね。

通常の柱は2.6mあれば足りるので、素材としては3mで取るんです。
ですが、大黒柱は天井まで通すなど長く使うことがあるので、これは4.3mで取りました。ちなみにこの木、元玉ですね。ここに伐採したときのチェンソーの刃を入れた跡があります。

―どれくらい乾燥させてるんですか?

2年くらい。これは背割り入れてないですが、天然で割れてきました。でももう、ほぼ乾いていますね。
1本見せる柱として、この木で家を建ててみたいというかたはぜひ 笑

■素材データ
サイズ:長さ:4300mm、幅:260mm、厚み:260mm
状態:樹皮剥き、乾燥
樹種:ヒノキ
伐採時期:2020年12月
重量:70kg

(取材後記)
50年以上前のことかと思います。将来を見据えて、“最後まで残す木”として枝打ちされた1本。そのとき描いた未来どうだったんでしょうか?(木田)

この日記を書いた人

木田 正人

木田 正人

1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。

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