2022.11.22
第79回 スポルテッド・メイプルの1枚板
板の表面に墨を流したような、スポルテッドという模様が美しいイタヤカエデ。マテリアル販売事業部・吉田に聞きました。
―これは何ですか?
これはイタヤカエデです。当社の工房近くの小沢の搬出現場から1年半くらい前に出したもので、その後丸太で保管してました。
―1年半…
そうなんです。いつか挽こうと思っていたものです。
―ついに製材したんですね。
先日、プラタナスと一緒に山梨の製材所さんへ持って行って一緒に挽いていただきました。
―そうなんですね。黒い線の模様がかっこいいですね。
スポルテッドと呼んで、結構人気なんですよ。
※ スポルテッド:複雑な木目(杢)の一種で“墨流し杢”。
―どうやってできるんですか?
丸太で保管していた間に、木口などから雨水が染み込んで…
―はい…
水が入って腐食したところが黒い線になって、この墨を流したような模様を作り出してるんです。
―そうなんですか。まるで筆で描いたようです。
かっこいいですよね。1年半置いたことで、スポルテッドができたという感じです 笑
―表面を削っても消えないですか?
消えないですね。
―乾燥したらどうなりますか?
乾燥しても広がることはないと思いますけど、逆に消えることもないです。
―地上絵みたいですね。
確かに。ナスカ…笑
―ここ、幹が二股に分かれた部分ですか?
そうです。樹皮が中に入り込んでるという…。そこもポイント 笑
―このままカウンターに使えそうですね。
いいですね。テーブルにしてもいい。
―両端を切り落としていないので耳付きなのもかっこいいです。
それと木が硬いから、製材の刃が負けて板の表面がざらついてますが、逆に、このまま使うとかね。
―あえて、綺麗にしすぎないのも良さそうですね。
ざらついた面が光沢を見せてます。
―綺麗ですね。全部で何枚あるんですか?
6枚あります。
―乾燥するにはどれくらいかかりますか?
完全に乾くには数年ですね…。テーブルで使いながら乾燥させるってできたらいいなと思ったり…
■素材データ
サイズ:全長:2800mm、幅:500mm厚み:650mm
状態:未乾燥、耳付き
樹種:イタヤカエデ
重量:50kg
(取材後記)
この木を伐採・搬出した小沢の現場では、跡地に一般の方が参加して広葉樹の苗を植えるということも行いました。スポルテッド、二股、耳付き等、板としての特徴さまざまですが、その裏にはそんなストーリーも。いろいろ語れるテーブルになりそうです(木田)。
この日記を書いた人
木田 正人
木田 正人
1966年生まれ。青森県弘前市出身。日本大学農獣医学部卒。雑誌記者など出版界勤務後、「人のため、地球のための仕事」をしたいと思い、林業を志す。東京チェンソーズ設立当初から森林整備と広報を担当。